なまえの家に回覧板を持っていってから数日。グルグルの正体が自分がサボったせいで帰る時間が遅くなっているなまえに対する罪悪感だと判断した俺は、サボっていた委員会に顔を出したり、委員会の仕事をこなしたりするようにした。それでも、気持ち悪いグルグルしたものは徐々に大きくなっているような気がした。
「トシ、これなんだけど・・・」
授業中になまえが土方に対して次に当てられる問題を質問している姿が目に入る。しかし運が悪くも土方もその問題がわからないらしい。どうすんのかと思いながら見ていると、なまえは俺の方を向いた。
「沖田、この問題わかる?」
見るからに切羽詰っているなまえの質問に仕方ないと思いながらも口を開くと、思っていたこととは違うことが口から出た。
「知らねェ」
自分でも驚くほど低い声が出てしまい内心焦っていると、なまえは驚いたような、悲しそうなよくわからない表情を浮かながら笑った。
「そう、ごめんね」
その後にすぐ謝ればよかったのかもしれない。しかし俺がなまえに謝ることはなく、そのまま数日が経った。なまえは俺に元気良く話しかけるものの、俺はなまえに対して冷たい態度しか取ることが出来なくなっていた。その間にも胸の中のグルグルしたものは大きくなる。・・・あぁ、腹立たしい。
「最近何かあったアルか?いつもと何か違う気がするネ」
「・・・実は土方の野郎が悪戯にひっかからなかったんでィ。あー残念だねィ」
「それは確かに災難アルな」
放課後、二人きりになった教室でチャイナは俺の最近の変化について問いただした。勘が良いのか悪いのかわからないが、取り合えずは俺の嘘を信用してくれたらしい。それから他愛もないことを話していると、俺はあることに気がついた。全員帰ったと思っていた教室の机に、まだなまえの鞄がかかっている。なまえの性格からして忘れ物ではないだろう。おおかたサボった俺の代わりにまた土方に委員会の手伝いでもさせられているんだろう。委員会が終わるまで、あと5分。
「どうしたアルか?」
突然無言になった俺を心配したチャイナが俺の顔を覗き込む。そして、俺はチャイナの唇にキスをした。俺がキスするとは思わなかったのか驚くチャイナを横目に俺はどんどんキスを深くしていく。委員会が終わるまで、あと、
110410