あれから数日が経ち、私と沖田の仲も完全に元に戻っていた。沖田と神楽ちゃんは相変わらずラブラブだったし、そんな二人と笑いあう私も口にすることはなかったが私も沖田のことが好きなままだった。そんな中で変わったことといえば、


「おい、ちょっといいか?」

「あ、トシ!私もちょうど探してたんだ」


沖田のことで相談を乗ってもらってから以来というものの土方くんとの距離が縮まり、今ではお互い名前で呼び合う仲になっているということだった。
宿題の教えあいや部活のこと、沖田のことなどを笑いながら話す。少し前までは近寄りがたいイメージしかなかったのに、少し距離が縮まるだけでこんなにも親しくなれるんだから、土方くんのコミュニーケーションスキルは凄い。(でも心の中ではまだ名前で呼べない)

沖田と神楽ちゃんのことを見ているのは辛かったが沖田にかけた迷惑や、何より自分が我慢することで二人が幸せになるのなら、今まで以上に二人の仲を応援しようと思った。


なまえに告白されてから数日が経っていた。が俺はというと、いつものようにチャイナの野郎と痴話喧嘩を繰り返したり、土方の野郎をからかったりと何も変わらない生活を送っていた。なまえとの仲も昔に戻ったようなくらいになり、俺にとって順風満帆な日々を送っている。そう思っていた。






「え、居ないんですかィ?」

姉さんに言われて回覧板を俺の隣の家であるなまえの家に回す。呼び鈴を鳴らすと出てきたのはなまえの母さんで、いつも玄関まで走ってきて俺から回覧板を受け取っているなまえはまだ帰ってきていないことを俺に伝えた。おばさんの話に寄ると、何でも最近前よりも少し帰りが遅いらしい。柄にも無く心配して外を見ると、もう日が暮れかけていた。

「あ、でも心配いらないのよ。いつも家まで送ってくれる子が居て・・・って話してるうちに帰ってきたわね」


そう言って手を振るおばさんが見ている方向を見ると、なまえと土方の野郎が仲良く並んで帰ってきている姿が目に入った。頭の中で状況を整理していると、玄関先に立っていた俺に気付いたなまえが手を振りながら俺に近付いた。


「あ、沖田じゃん!どうしたの?・・・あ、回覧板か!ご苦労様ー」


そう言って笑うなまえは俺から土方へと視点を移すと、今まで俺が耳にしたこともないような優しい声で土方に話しかけた。


「いつもありがとうね、トシ。また明日」

「おう、またな、なまえ」

「あ、沖田も態々ありがとうね!」


そう言うと、なまえはおばさんと楽しそうに話しながら家の中へと入っていった。それを合図に自分の家の方向へと足を向けた土方を、俺は思わず呼び止めてしまった。


「・・・どういうことですかィ」

「別に、お前がサボった分の委員会の仕事を手伝ってもらってるだけだ。それで帰りは危ないから送ってる。ただそれだけだ。文句あるか?」


俺の質問に有無を言わせない言い方で答えた土方はそう言うと「じゃあな」と言って去っていった。その場に残されたのは俺一人になり、何故か言いようの無いグルグルしたものが胸の中を這いずりまわったような気分になった。


110410

違和感を抱く

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