「そう言えば、バイトは何してたの?」
「あー…」


そう。
このバイトが問題なのだ。


「まあ、いいじゃない。それも結構、楽しかったし経験になったし」


両親にさえも、言っていなかった。
…モデルの活動をしていたということ。
勿論、お小遣い稼ぎのためだ。
こちらで言う、読者モデルみたいな活動をしていた。
向こうの、ホームステイ先の人に了承してもらって活動していたから、秘密になっている。


「綾華何か隠し事か?」
「竜也混ざると変な方向に行くから余計なこと言わないで」
「はあ?!」


まあ、おいおい説明はしていこうとは思うけれど、今はいいじゃない。
そう自分で納得して、私は付いていたテレビを見た。
するとたまたまニュース番組が付いていて。
そこには、先日行われたのであろう、御幸が入っている球団の試合が映し出されていた。
結果は御幸のチームが勝ち。
泣いて喜ぶ女性ファンが映し出され、『御幸くん大好き!』という声が流れた。

…どうしてだろう、この胸のざわつきは。
こんなの、別にファンとしてのものなはずなのに。
…大体、私には関係ないのに。


「そう言えば、綾華って、御幸一也と知り合いなんだって?」
「え?」
「母さんが言ってたからさ!」


また余計なことを行ってくれたな、母さん。
そう思いながらも、私は『まあ、同級生だったからね』と言う。
強ち嘘じゃない。

すると、『マジ?!すげえ!』と目を輝かせて竜也は私を見る。
何々、御幸ってこんなに人気が出てるの?
そう思いながらも、竜也もファンなのかと尋ねたら、


「当たり前だろ?!あの稲城実業出身の原田よりも1億5千万高い契約金で○○にドラフト1位入団、入団早々一軍入り、その後は大事な試合のキーマンとして大活躍!天才イケメン捕手として、メディアの露出も高い今一番熱い男だよ!御幸一也は!」


超マシンガントークをかまされ、私は若干引く。
こんなに竜也が話したことはあっただろうか、と思いながらも、とにかく御幸の凄さはわかった。

向こうでも日本のプロ野球は結構注目されているから、情報はあった。
だから、御幸が注目されてっていうのも知っていたけれど。
まさかここまでとは思いもしなくって、驚きを隠せないけれどもやっぱり嬉しかった。
御幸の夢が、叶ったんだから。


「綾華の学年には御幸以外に誰がいたんだよ?」
「誰がプロ入りしてるのか知らないけど、倉持とか―――」
「倉持って、倉持洋一?!」
「そうそう。よくパンの取り合いしたんだよ」
「まじかよ!」


すげえすげえ!と何度連呼したのかわからないほど感動している我が弟に、私も笑う。
御幸や倉持がこんなにも活躍していただなんて。
サインでももらえばよかったかな、何て思いながらも、先ほどのことが頭に過る。


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