御幸くんとセカンドコンタクト

結局私は、あの二人三脚と去年出たテニスの二種目だけだ。まだ、テニスの方はいいけれど、問題は二人三脚。女子から睨まれなければいいけど…。そう思いながら、SHRを終えて帰ろうとすれば、


「片岡」


と担任に呼ばれ、行ってみれば大量の紙の束。何ですか、これ。視線を先生に合わせると、申し訳なさそうな顔をしながら、『明日までに必要な生徒評議会での冊子なんだ、片岡、お願いできないか?』と頼まれ、今日は何もなかったから了承した。委員長たちもいるからと言われたのだが、確か委員長も副委員長も強化部に入っていたはず。だから、


「いいよ、私しておくから」


と言った。初めは二人とも「でも相当枚数あるし、していくよ」と言っていたのだが、副委員長が部活の後輩に呼ばれて行ったので、男である委員長と二人。それは私としてもキツかったので、『本当に大丈夫だから』と言い、部活に行ってもらった。40部程だし、まあいいかと。甘く見ていた。


「結構あるなあ、コレ…」


ページ数が結構あって、高々40部と甘く見過ぎていた。現在時刻、5時半。お母さんには連絡しておいたものの、遅すぎたら心配するだろう。まあ偶にだし、こういう放課後にも憧れていたからいいや。のんびりしようと思っていたら、ガラッとドアが開いた。すると、


「あれ、…片岡さん?」


部活の練習着の御幸くんの姿。『お疲れ様』と言えば、片岡さんもなと言ってくれて。で言うか、私の名前知ってくれてたんだなあ、と思うと感動してしまった。


「で、何で片岡さんが残ってんの?」


いつもすぐに帰ってるよな、と御幸くんが言う。いつもっていうことは、少しは御幸くんの視界に私も入っていたんだなあとまた感動する。そしてこの成り行きを説明すると、


「マジ?アイツら腹立つな。支倉呼び戻してこよっか?」


と御幸くんが怒ってくれて。支倉とは委員長の支倉くんのことだ。いや、それは困る。


「ううん、私がそう言ったんだし、支倉くんや田中さんは悪くないよ。それに、」
「?」


何と無く言いにくかった。男の子に、『私、男の子苦手なの』なんて。まして、御幸くんに。しかも二人三脚に一緒に出るっていうのに、言えない。だから、さり気なく話題を変えた。


「そう言えば御幸くん、部活は?」
「…ああ、一区切りついたから忘れ物をな」
「そうなんだ、早く戻らなくて大丈夫?」
「今日はあと自主練だから大丈夫」


そう言うと、御幸くんに『どうやったらいい?』と言われ。どうやら御幸くんは手伝ってくれるよう。


「だっ、大丈夫だからいいよ?!」
「もう後ちょっとで下校時刻じゃん。いいからいいから、」
「でも…っ」
「はっはっはっ、二人掛かりですれば早いだろ?」


そう言うと、御幸くんは勝手に始め出した。案外御幸くんって、



御幸くんとセカンドコンタクト
((恩着せがましくなくって))
((周りを判断できる人なんだな))



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