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「ところで蜜柑ちゃん、その後、鈴木くんとはどうなの」

廊下側の席で読書をしている鈴木くんを見ながら、及川くんが聞いた。中間テスト後の席替えで、鈴木くんとあたしは廊下側と窓側の対極に席が離れたのだ。

「普通に、元通りだけど…」

「え…?普通に話してんの…?」

「うん。謝ってくれたから」

そうなのだ。
中間テストのゲームの一件は、あのあとすぐに鈴木くんが謝ってくれた。

好きだと言ったことも、ちゃんと諦めるから忘れていい、クラスでも予備校でも会うのに気まずいのは嫌だから、これからも友達として関わっていきたい、そう言ってくれた鈴木くんにあたしは同意して、あの一件は許すことにしたのだ。

「ふーん。鈴木くんって、やっぱ油断できないよね」

「ん…?」

「まぁ、蜜柑ちゃんが優しすぎるのも問題だけど」

そう言うと、及川くんはあたしのほっぺをムギュっと一回だけつねってから、自分のクラスに帰っていった。

及川くんと付き合い始めて、早4ヶ月。

毎日一緒にいるものの、あたしは及川くんの本心がわからなかった。

鈴木くんとの一件とか、さっきのような振る舞いとか、はたからみたら、愛されているように見えるのかもしれない。

ただ、始まりがあんなだっただけに、及川くんのことを、いまいち信用出来ないのだ。

及川くんが人並みな男の子ならまだしも、学年一位の成績に、スポーツ万能、あの容姿。

なぜ、あたしが?と、どうしても思ってしまうのだ。
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