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memo

本日の怪我(op現パロ)

トントントン
…ぺら、
トントントン、
『っ、』
かちゃんっ、
「、どうした?」
規則正しく響いていた、包丁がまな板を叩く音。今日はパスタにしよう、ということでいつも通りキッチンに立って作業をしていた彼女。ローはソファに座って雑誌を開いていたら、ふと、包丁の手放される音が彼の耳に届く。
『な、なんでも、ない』
「……」
咄嗟に返された返事に違和感を感じたローは立ち上がり、キッチンへと回り込んできた。きゅっ、と蛇口をひねって水を止めたほうの手とは逆の方を、ローからは見えない様に隠しているが、目敏いローがそれに気づかない筈もなく。
にゅっ、と長い腕を伸ばして、隠されているほうの手の手首を掴んで目の前に持ってくると。
「…切ったのか?」
『……ちょっとだけ』
そろり、とそらされた視線の後に、言いにくそうな声色。包丁で手を切るなんてことが今までなかったから、きっと恥ずかしいのだろう。ローの視線が彼女の何とも言えない表情から切られた指に戻ると、傷口からは新たに血が滲んできている。
ローは止められた水を再び流し、そこへ指を持っていくと傷口をすすぐ。
「ちょっとこのまま洗ってろ」
『、ん』
それから手際よく、道具を用意して、傷口が乾燥しないようにと処置を進める。手際のよさは、やはり彼が医学部の学生だからか。あっという間に仕上げられた処置に感心していると、肩に手を置かれ、ソファの方へと促される。
『?』
「直るまでは俺が飯作るからな」
『えっ』
「え、じゃねーよ。まさか作るつもりだったのか?」
駄目だ、と先手を打たれた彼女は反論しようと口を開こうとするが、ローから向けられる視線に勝つことは出来ず。しょぼん、と申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「フフ、そんな顔するな」
『…ぅー…』
ちゅ、と宥めるように頬にキスを落とされた彼女はたちまち顔を赤くし、なかなか動こうとはしなかった足を動かしてキッチンから逃げていく。そんな後姿を見送ったローは、くつくつ、と愉快そうに笑ったのだった。

***
指切りました、ピーマン切ってら勢い余ってザクッ、と
皆さん気を付けて下さいね!

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1st.Dec.2013


 
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