『お前はさっき、私になりたいと言ったな?』


へーわさんと岸谷さんが居なくなり、静寂が戻ってきた室内。セルティさんはイライラしているのか、指でトントン太ももを叩いている。


「あー言いましたね」

『どこまで私を知っている?』

「うーん…。首がないところとか、日本人じゃないとか!」

『臨也から知ったのか?』


肯定を示すように頷くと、セルティさんは無い頭を抱えるようにして、何故か悩んでいた。

セルティさんを調べる時に教えてもらったんですと言ったら、更に落ち込んでしまった。ありゃ、何か悪いこと言ったかな?


『あー……そういえば、新羅が変なことを言っていたよ』

「変なことですか?」


落ち込んだままの状態のセルティさんが、重い指使いでぽちぽち打っていく。変なことってなんだろう。いいことならいいんだけどなー。


『君の身体の傷の治りが異常に速い。そして、静雄よりは劣るが、筋力が成人女性よりも――』

「つまり人間じゃないってことですか!?」

『え?まあそういうことに』
「ありがとうございました!治療費は次回持って来ます!!」

『待て!話はまだ終わっていない!』

セルティさんが反応する前に、電光石火で玄関の扉を開ける。それこそ、岸谷さんが<常人にはあり得ない速さ>で。


「あれ、セルティ。タマちゃんは?」

『逃げられた……。何なんだ、あの猫みたいなすばしっこさは…!』

「あん?猫女帰ったのか」

「んーそうみたいだね。あれ、静雄の持っているそれ何?」

「……何か落ち込んでいるみたいだったから、飴でも」

「あっはっはっは!静雄が飴をあげるなんて矢がふ――」


新羅が言い終わる前に、静雄のグーが顔面に入った。セルティはそれを見て、あの子は大丈夫かなと心配していた。

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