金髪でバーテン服を着た彼―――平和島静雄は、さっきから誰かに見られているような気がした。


なんとなく気持ち悪いので、少し入り組んだ路地裏に入る。


コツ、コツ、コツ、コツ

ペタ、ペタ、……ズルッ、ペタペタ


(チッ、しつこい奴だな……仕方ねえ)


そろそろ堪忍袋の緒が切れそうな静雄は、後ろを振り返ることにした。少女がいた。

「…………わわっ!」

慌てて物陰に隠れ、ひょこっと顔を出す。静雄は一連の動作で、どんくさい奴だと認識した。

「おい、さっきからなんで尾けてたんだよ」

「……う……あの、」


もそもそと物陰から出てくる少女は、全身が黒ずくめで、ある男を彷彿とさせた。

「えっと……そのぉ」

「おう」

「単刀直入に……申し上げますと」



死んでいただけませんか?


「は?」

そう言った瞬間、さっきのイメージがぶっ飛ぶようなスピードで、静雄の胸元に飛び込んできた。



これが、平和島静雄と少女―――猫柳タマのファースト・コンタクトだった。


[ 1/54 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

戻る


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -