家に向かっていると、いざやさんが居た。「やあ」と爽やかな笑顔を振り撒きながら、手を挙げられたのでペコッと会釈をした。
「それでさぁ、シズちゃんはどうなったの?」
所変わって私の家の中。いざやさんはソファー、私は地べた。えへへ、いざやさんが座ってる。
「……死にませんでした」
ふーんって言いながら臨也さんが私の肩を蹴る。結構な力で、私は倒れてしまった。
「ねえ、君はいつになったら俺の前から消えるの?」
「けほっ、けほっ、いざやさんが死んじゃったら……」
へらへら笑うと、臨也さんが立ち上がって、私の左腕を踏む。うぁ、そこ負傷したとこ!
「早く死んじゃえばいいのにね」
「……はい」
「人間は愛してるけど、君は愛せないね」
「……はい、っ!」
お腹をぐっと踏まれて胃液がせり上がる。あぁ、神さま、助けてください。
ぼやけていく視界に映る、臨也さんが笑っている気がした。
「…………ごめんなさい」
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