ああもうなんで、こんな簡単に捕まっちゃうのかしら。タマちゃん分かんなーい!
首根っこを掴まれてぶーらぶら……なんか、この景色を見たことがあるような。全然楽しくない。
「手前の帰りが遅かったから臨也の野郎に拐われたのかと思ってたらよぉ、こんなところで再会するとはなぁ…?」
「臨也さんには拐われてません!ていうか離してください〜!」
「断る」
「ふざけんな金髪バーテン野郎ううういたたたた!!!」
ドレッドパーマのお兄さんはどこかに行ってしまった。ふえええ、この金髪バーテンさん怖いよ!!冗談抜きで!!!
「心配、させんじゃねえ……」
「ご、ごめんなさい…?」
「なんでハテナなんだよ。……帰るぞ」
「私は……帰れません」
ぐいと大きな手で握ってくるそれを振り払った。情けないくらい声が震えて、ぼたぼたと涙が落ちる。最近、涙腺が緩みっぱなし。
頭上でため息が吐き出されて、がしがしと頭を撫で回された。
「アイツに何か言われたのか」
「あ……これは、私の下した決断なんです。ごめんなさい……!」
「…そういうことかよ」
「っ、ごめ、ごめんなさい……」
「別に気にしてねえよ…。なんかあったら、逃げてこい。匿ってやるから」
ニヤリと凶暴で優しく金髪さんは笑った。名前が分からないけど、私は「ありがとうございます…!」と涙声で感謝した。
「泣くな、笑え」
「にやー」
「……やっぱり笑うと何でかムカつくな」
「いだだだだ!どっちかにしてください!!」
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