ある情報屋の悪夢

いつの間にか寝落ちしていたようで、俺はよく分からないところに居た。真っ白な部屋に、真っ黒な服を着た俺。なんとも可笑しいコントラストだ!

周りを見渡すと、壁に溶け込んでしまいそうなくらい真っ白なワンピースを着たタマがこちらを見ていた。


「やあ、死後の世界はどうかい?」

「……す」

「…なんだって?」

「ころす、……ころすころすころすころす、ころす…!」

「これまた過激な歓迎だな」

「ふっ、っう…しね……!しんじゃえ!」


タマが降り下ろす度、俺の腹部から血飛沫が舞う。勿論、夢だから全然痛くない。しかし変な感覚だ。血は出るが、痛みはないなんて。


「タマ」

「っ!やめ、やめて……もう…やだ。ころさなきゃ、殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ…!」


血塗れになった手で、滑りそうになりながらも懸命に刺し続けるタマ。顔は涙で濡れている。こんなにボロ泣きするなら、やらなきゃいいのに。


「殺す……!」


タマが大きく振りかざした瞬間、目が覚めた。手が汗をかいている。変な、夢だった。

あまりにもリアルな夢を思い出して苦笑いが出た。どうして、今更思い出したのだろうか。懐かしくて?寂しくて? ……憎くて?


「……どこに行ったんだろうねえ、俺の駒は」


テーブルに置かれた写真を手に取り、じっと見て破った。タマがto羅丸の総長――六条千景といる写真。


「はははははっ!! ……駒は駒らしく、俺に動かされればいいんだ」

[ 54/54 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

戻る


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -