「同情とか…憐れみとかじゃなくて……貴方が好きだから。私は、私は…貴方を愛しています……」
臨也さんはするりと私の首から手を離した。ようやく喉を解放された私は、身体をくの字に折って噎(む)せた。
「いざやさ、けほっ!けほっけほっ!!」
「タマ……君は本当に馬鹿だね」
「いざやさん…?」
涙で歪む視界の中で、臨也さんは泣きそうな顔をしていた。下唇を噛み、必死に我慢しているようだった。
私はその下唇を優しく舌でなぞった。臨也さんはびくりと肩を震わせた。可愛そう。
「臨也さん、大好き。愛してます」
だから、もう終わりにしましょう。
そう言って、私は臨也さんを押し倒して、手を降り下ろした。全ての嘘を、愛を、そしてほんのすこしの悲しみを断ち切るために。
「タマ、…?」
呆気なく、それは切れてしまった。
ごめんなさい。
ありがとうございました。
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