「へえー記憶喪失!」

「ホントーにあるんスねえ!!」

「だから俺達が分からない、と」


どうも、私こと猫柳タマは、只今ワゴン車の中で尋問中です……。ううう、大人に囲まれてるよ…!


「あーだから最近イザイザはイライラしてるんだねえ」

「イザイザって誰ですか?」

「……教えていいのかな、ドタチン」

「早めに教えておいた方がいい」


よっぽどの危険人物なのかな。真剣な顔の、か、狩沢さんが口を開く。


「イザイザは、折原臨也のことよ」

「おりはらいざや…?」

「猫柳、お前が“昔”盲従していた男の名前だ」

「あの……おりはらって、木を折るの折るに、原っぱの原ですか!?」

「あ、ああ」


折原いざや……。もう少しで分かるのに…!苛立つ私に、狩沢さんは優しく手を握ってくれた。


「そんなに無理しなくても大丈夫。ゆっくり思い出していこう?」

「狩沢さん…。でも、私、静雄、さんの記憶しか思い出してないんです」

「えー!シズシズを!?」

「は、はい」

「折原にはもう絡むな。静雄と出来るだけ一緒に行動しろ。アイツと関わると、ロクなことがない」

「は、はあ」


約束だよ!と狩沢さんと指切りげんまんした。私をドタチンさん(本当は門田さんだけど)はちょっと心配そうに見てた。


「大丈夫です。私、もう静雄ん家に住んでますから」

「「えぇ!?」」

「なんだと…?」


唖然とする三人に私は「ご忠告ありがとうございましたー!」と挨拶してワゴンから出た。


「へえ……生きてたんだ。流石だなぁ」


それを偶然、黒いファーコートを着た男が見ていたことに気づかずに。

[ 42/54 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

戻る


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -