「あれぇ?おかしいな……」
「手前の方がおかしいぞ、初対面の相手に向かって死ねとはよぉ?」
プラーン、と首根っこを掴まれている私、猫じゃあるまいし。目の前には、整った顔を怒りと困惑で歪ませたへーわさん。
「なにも言わずに刺すのは悪いかなー、と」
「刺すこと自体悪いからな」
「でもへーわさん、刺さりませんよ?」
「へーわ?」
コクリと頷く。あ゙ーと言いながら頭を掻くへーわさん。ふーむ、イケメン。でも嫌い。
「えー、あ……そのー」
「なんだ、遺言か?」
「まだ死ねませんよ、降ろして頂きたいんですが」
「無理、死ね」
「ひどいなぁ」
ケラケラと笑うと、へーわさんの顔に青筋がもう一本増えた。うわ、めっちゃ怒ってる。
「へーわさんが死ねば死にますよ」
「お前が死んでノミ蟲の野郎も死んだら死んでやるよ」
「ノミ蟲…?」
首を傾げると、へーわさんが滅茶苦茶イヤそうな顔で名を告げた。
「臨也だよ、折原臨也」
「あー、いざやさんは死なせませんよ」
「あん?手前ノミ蟲の知り合いかなんかか?」
「まーそうですね」
正しくは、信者っていうんですけどね。あははは。
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