「あら、これができないの?」
「どうして百点じゃないのよ!?」
「タマちゃんってさ、何考えているか分かんないよね」
「簡単なことでしょ!!あたしに恥をかかせないで!!」
「タマなんて、産まなきゃよかった」
「うわぁ…猫柳さんって、人間じゃないみたい」
「出ていってちょうだいって言ってるの!!!」
「は?いいから金出せよ」
「君、一人?」
お母さんは嫌い。友達はいない。先生は嘘つき。みんな嫌い、キライ、きらいキらイきらい!!!
「一応、人間だしね」
「いつになったら落ちるの?怖いのかい?手も震えているし、止めたら?」
「それは無理かなあ?だって、俺は全人類を愛さなきゃいけないからさ。君一人に愛を注ぐわけにはいかない」
「ふふ、君は有能だなあ」「シズちゃん、早く死なないかなー」
「君はいつになったら俺の前から消えるの?」
「早く死んじゃえばいいのにね」
いざやさんが いったことは すべて ただしい 。つまり わたしが いうことは ただしくないの ?おかあさんに あやまったことは ただしくないの ?
『世界は貴方が思っているより酷いものじゃない』
こわいゆめだった。臨也さんが私を捨てていく夢。そんなの、あり得ないもん。
「あ、起きた」
「いざやさん…怖い夢をみました。いざやさんがいなくなっちゃう夢」
「ふうん。それは怖いね。そういえば、君、丸一日寝てたよ」
そう言われてテレビに目を遣れば、あ、本当だ。臨也さんのベッドだから、臨也さんの匂いが枕からする。
「私、ここに住みたいです」
「残念だけど、昨日だけだったから」
「むぅ…。合鍵作って、夜這いして、既成事実を作ります」
私が睨みながら言えば、臨也さんは鼻で一笑した。む、バカにされた。臨也さんはギシッと、私の上に馬乗りになる。
「そんなに事実が欲しいなら……作っちゃおうか」
「臨也さ、ん…い゙っ!?」
お腹を刺された。じわりじわり血が、真っ黒なシーツを更に黒く染めていく。傷の回復が早かろうと、痛覚は普通の人間と同じであって。
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