にこにこしている臨也さんだけど、よく見ている私を騙せない。何か、嫌なことがあったのかな。
「臨也さんこそ、どうしたんですか?」
「シズちゃんにムカつくことを言われたのさ」
「ムカつくこと、ですか」
珍しく臨也さんが私を抱擁した。その瞬間、私の視界が滲んだ。あれ、本日二度目?あまり泣いちゃうとウサギさんになっちゃう(泣)
「なんかさータマをもっと大切にしろとかうるさかったんだけど……なに泣いてんの」
「だっ、で!臨也さ、が…ギュッて…!」
「ふーん、泣いちゃうくらい嬉しいの?」
「はい゙っ!!」
「そう。俺は少なくとも、君を大切にしていると思っているよ。一応、人間だしね」
人間だから。もしも、臨也さんが私は人間じゃない、へーわさんと同じ怪物って知ったら、どうしよう。
「……臨也さんは、私を捨てませんよね」
「それはどうかな。君が人間だろうとそうじゃなくても、俺は切り捨てるよ」
その言葉を聞いて、私は「よかった」と笑った。人間じゃなくても、私は私。
「えへへ、臨也さん大好きです」
「俺は嫌いだけど」
「だったら、こうやって甘えないんじゃないんですか?」
「……なんか今日のタマちゃん、変だね」
むにと頬をつままれる。酔ってるのは臨也さんだと思うんだけどー。
「とりあえず、帰りましょう。眠たいです…ふにゃあ」
「ムカつくから今日は帰さない」
え?見上げれば、意地悪な顔の臨也さん。やだ、私ってば処女バイバイ!?臨也さんに思考が読まれたらしく、「そういうわけじゃないって」とデコピンされた。
[ 21/54 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
戻る