にこにこしている臨也さんだけど、よく見ている私を騙せない。何か、嫌なことがあったのかな。


「臨也さんこそ、どうしたんですか?」

「シズちゃんにムカつくことを言われたのさ」

「ムカつくこと、ですか」


珍しく臨也さんが私を抱擁した。その瞬間、私の視界が滲んだ。あれ、本日二度目?あまり泣いちゃうとウサギさんになっちゃう(泣)


「なんかさータマをもっと大切にしろとかうるさかったんだけど……なに泣いてんの」

「だっ、で!臨也さ、が…ギュッて…!」

「ふーん、泣いちゃうくらい嬉しいの?」

「はい゙っ!!」

「そう。俺は少なくとも、君を大切にしていると思っているよ。一応、人間だしね」


人間だから。もしも、臨也さんが私は人間じゃない、へーわさんと同じ怪物って知ったら、どうしよう。


「……臨也さんは、私を捨てませんよね」

「それはどうかな。君が人間だろうとそうじゃなくても、俺は切り捨てるよ」


その言葉を聞いて、私は「よかった」と笑った。人間じゃなくても、私は私。


「えへへ、臨也さん大好きです」

「俺は嫌いだけど」

「だったら、こうやって甘えないんじゃないんですか?」

「……なんか今日のタマちゃん、変だね」


むにと頬をつままれる。酔ってるのは臨也さんだと思うんだけどー。


「とりあえず、帰りましょう。眠たいです…ふにゃあ」

「ムカつくから今日は帰さない」


え?見上げれば、意地悪な顔の臨也さん。やだ、私ってば処女バイバイ!?臨也さんに思考が読まれたらしく、「そういうわけじゃないって」とデコピンされた。

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