『お前はさっき、私になりたいと言ったな?』
へーわさんと岸谷さんが居なくなり、静寂が戻ってきた室内。セルティさんはイライラしているのか、指でトントン太ももを叩いている。
「あー言いましたね」
『どこまで私を知っている?』
「うーん…。首がないところとか、日本人じゃないとか!」
『臨也から知ったのか?』
肯定を示すように頷くと、セルティさんは無い頭を抱えるようにして、何故か悩んでいた。
セルティさんを調べる時に教えてもらったんですと言ったら、更に落ち込んでしまった。ありゃ、何か悪いこと言ったかな?
『あー……そういえば、新羅が変なことを言っていたよ』
「変なことですか?」
落ち込んだままの状態のセルティさんが、重い指使いでぽちぽち打っていく。変なことってなんだろう。いいことならいいんだけどなー。
『君の身体の傷の治りが異常に速い。そして、静雄よりは劣るが、筋力が成人女性よりも――』
「つまり人間じゃないってことですか!?」
『え?まあそういうことに』
「ありがとうございました!治療費は次回持って来ます!!」
『待て!話はまだ終わっていない!』
セルティさんが反応する前に、電光石火で玄関の扉を開ける。それこそ、岸谷さんが<常人にはあり得ない速さ>で。
「あれ、セルティ。タマちゃんは?」
『逃げられた……。何なんだ、あの猫みたいなすばしっこさは…!』
「あん?猫女帰ったのか」
「んーそうみたいだね。あれ、静雄の持っているそれ何?」
「……何か落ち込んでいるみたいだったから、飴でも」
「あっはっはっは!静雄が飴をあげるなんて矢がふ――」
新羅が言い終わる前に、静雄のグーが顔面に入った。セルティはそれを見て、あの子は大丈夫かなと心配していた。
[ 18/54 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
戻る