副隊長に教えられたことは、明日から一日おきでこの隊室に来て仕事を覚えること。

隊室に来ない日は総隊長と呼ばれる人と霊圧について学んだり訓練をすること。

基本的に自室と隊室と総隊長室、加えて怪我をしたときの四番隊へは移動が自由。

その他の場所への移動は誰かが同伴すれば可能。




「ここの隊室の隣に執務室という畳の部屋があるから、今日からそこが君の部屋だよ」



ほら、と試しに覗かせてくれたそこは本当に広い。
こんなところでごめんよ、という副隊長の言葉に一瞬怯んでしまった。



「今日は色々な場所を案内させるから、ゆっくり見てくると良いよ。次から隊長の仕事を見においで」

「はい」



しっかり返事をした葵へ、副隊長は変わらない笑顔で何度かうなずいた。



「うん、じゃあちょっと待っていてくれるかな」

「?」

「君の案内役を誰が手に入れるかで喧嘩が始まったから……」

「……あ」







結果、葵を案内してくれるのは四席の快活な女性になった。



「待たせてごめんなさいね。次の隊長だって言うから、皆見納めにあなたと話したがってるのよ」

「見納め、ですか?」

「あ、聞いてない?あなたの代になると隊員は一回リセットされるの。私たちは四十六室だとか貴族の警護だとか…散り散りになった後の行く先は決まってるんだけどね。そんなわけで零番隊とも今の隊長ともさよならだから、せめて跡継ぎくらいは見ておきたいって気持ちが強くて。ここのことはどこまで聞いたの?」


「それがどこからも…」



あららぁ、と笑いながら廷内を案内するついでに色々話してくれた。
護廷十三隊の構成や隊の雰囲気、仕事内容、用具の説明。

初めてだらけの中で何とか頭を整理しながらも、一番気になっていたことを聞いた。






「……次の隊長は、私で良いんですか?」






その問いに四席は足を止めて、はるか身長の低い葵を見下ろす。
初めてまともに目を合わせた感覚に陥ったのは身長差のせいだけなのだろうか。

四席はしばらくの間そうして眺めていたが、やがてニッコリと笑った。



 

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