「隊長はチャッピーにこだわりはありますか!?」
「いえ特には。」
「じゃあ良かったら私のと交換してください!
私のはパンダのグリンゴです!」
「私のはアザラシのシュタイナー!」
「自分のはゴリラのブルース!」
「俺のは猫のギンノスケ!」
「どれが良いですか!?」
「……ではええと………………………………………………………………殺那で。」
「はい。」
直後に一人に一つずつ高速で振り下ろされたげんこつに、言い知れないダメージを受けて吹っ飛んでいく隊員達。
普段ならこれで終わる騒動も、今回は魔性のキャラクターチャッピーがいるとあって隊員達の粘りが違う。
「いいじゃないですか!
葵隊長はどれでも構わないと仰るんですし!」
「葵様のお手を煩わせるなと言っているんだ、さっさと仕事に戻れ。」
「いいえ!目の前に本物のチャッピーがあるのに諦めきれません!」
「意地でも交渉し続けます!」
こりゃ無理ね、と乱菊が呟いて、ちらりとこちらへ視線を投げた葵へこれ見よがしにうなずく。
近くの棚にあった縛り紐を素早く持つと、自分へ背を向けている隊員達の腰紐へしゅるしゅる通して縛りつけた。
「うわっ、何してんすか松本様!」
「貸しにしといてあげるからさっさと行きなさいって。」
「ありがとうございます、行きましょう葵様。」
「あ、はい。」
「お待ちを隊ちょ――っわあ!」
「走るなって!一つになってんだから!」
「松本様この紐切ってくださいっ!」
「あと十分は駄目よー。」
葵の手を引いて人気のない廊下まで連れ出した殺那。
いざとなれば瞬歩を使うとして、今はまだ気配さえ消していれば大丈夫だろうと判断する。
「とりあえず今はここまで来れば…」
「何だか駆け落ちみたいですね。」
「はい!?」
「冗談です。」
「……ですからそう言う冗談はやめてくださいと…」
「善処しましょう。」
失礼しました、と呟きながら葵の手を離し、これからの道を思案する。
あの様子では頭が冷めるまで接触は避けるべきとの考えを持つ殺那に葵も同意したので、ひとまず逃亡先を探すことに。
「今の状況だと俺達を受け入れてくれるのは京楽隊長か、更木隊長か、卯の花隊長でしょうか。」
「そうですね。
では……」
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