「物は大切に扱わなければいけませんよ七猫。」

「だって俺んなの使わねーし、何でもいいもん。」



そう言いながら咬み千切られた包装紙を葵がそっと開くと、中から目つきの悪い猫のキャラクターが付いた義魂丸が出てきた。



「あ!猫ちゃんギンノスケだね!
あははぴったりー!」

「うっせ。
こんなん別に何だっていーし。」

「そう言えばギンもこのキャラクター当ててたわ、『僕がギンノスケ当てるとか死神協会狙いすぎやろー』って言って。」

「お揃いになってしまいましたね、七猫。」

「…何でもいーからこれとっかえて。」

「あ、じゃあ四席俺と交換しましょうよ。
俺カラスのクローディアなんで。」

「何でもいーからさっさととっかえて。」



図らずして七猫も交換組の仲間入りを果たした。



「何番人気というものがあるなら、何番不人気というのもあるんですか?」

「あるわよ?
一番不人気はゴリラのブルースって言ったかしら、女性死神協会内でも結構人気がなかったわ。
一番入ってる量が多いはずなんだけど、あまり持ってる隊員を見かけないのよね。」



七緒が全部管理していたし間違いはないはず、と呟きながらもどうでもよくなったのかさっぱりと肩をすくめた。



「でも結局は何が当たってもしょうがないわよ、運なんだし。
葵はどうだった?」

「えっと…これは何というキャラクターでしょう。」

「どれどれー。」



初めは笑顔で手元を覗き込んだ乱菊が、あら、と声を漏らした。
振り向いた空の視界に入ったのは、ウサギのパッケージの義魂丸を不思議そうに見ている葵の姿。

室内の隊員のほとんどが反応した。





「葵隊長っ、そそそそそれ……!」

「チャッ…チャッ…」

「チャ?」

「「「チャッピーだー!!」」」



うわばぁと瞳に星を入れた隊員達が机に超特急でやってきた。
皆一様に視線がキラキラと輝いている。

この意外と普通のデザインのウサギがここまで人を夢中にさせるものかと、改めて見つめた。



「…人気なのでしたっけ?」

「い、一番人気ですよ葵様!
何百個に一つと言われるチャッピーですよ!」

「見せてください葵隊長!」

「きゃー可愛いー!」



きゃいきゃいといきなり賑やかになった室内で、乱菊まで珍しげにそれを見ている。



「あんた本当に運良いわねー。
……ああ、でもこの場合は良かったのか微妙ね。」

「?
なぜでー」

「「「隊長!!」」」



ばん、と叩かれた机に顔を向けると、輝いた目が眼前まで迫っていて少したじろいだ。





「「「「私の/俺のと交換してください!!」」」」





こういうことかと、手元の小悪魔なウサギを責めるように見下ろした。



 

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