【零番隊のお花見】






現在瀞霊廷の桜並木にて零番隊のお花見開催中。



「葵様ー!満開ですよ満開!」

「そうですね」



いつもの零番隊隊員に加えて当然のようにギンと乱菊も参加。
時期を少しずらしたこともあって、他に花見をしている人の姿はなかった。



「今までに零番隊で花見はしたことあるん?」

「ええ何回か。ひっそりとやっていました」

「……今年はそうはいかんやろね」

「?」





――数十分後。


「おらおらジャンジャン飲むわよー!」

「「「わー!」」」



目の前の区画で行われている酒飲み大会をせわしなく目で追うことになった葵。
ギンの言っていた言葉の意味が分かった。

酒を飲むのが許されている年齢の隊員のほとんどが酒乱女王の餌食になっていた。



「……こんなに元気なお花見は初めてです」

「あいつ盛り上げ魔やからなあ」

「葵様飲んでませんね〜うひゃひゃひゃ!」

「空は例によって水で酔ってますし」



それでも絵に描いたようなドンチャン騒ぎをどことなく楽しそうに見つめる。
隊員が楽しければ自分も楽しい。



「葵様、七猫はいつものように来なかったんですか」



乱菊の酒をすすめる魔の手から何とか逃げ出してきた殺那が聞いた。



「七猫は騒がしいのが嫌なので、桜の木の上で寝ています」

「ずいぶん器用やね」

「いえ、時々落ちるんですよ」

「うわ、それ下におったら巻き込まれるやん。今どこの木で寝とるん?」

「確か乱菊さんが立っている場所の真上です」

「あ、ならええわ」



良いのか!?という表情の殺那を後目に自分は自分でひょうひょうと花見を楽しむギン。
そんな様子も全て引っくるめて、穏やかにそれを見守る葵。



「大勢でこう言ったことをやれるのはとても良いですね、殺那」

「はい、葵様」



薄く微笑んだその顔に、思わず自分も笑ってしまう。
桜が夜桜に変わるまで、賑やかな花見は続いていた。





fin.
次の日ほとんどが二日酔い。

[ 17/67 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -