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慌しかった戦いも終わり、やっと一息ついたある昼中のこと、食堂で食事を終えた三日月を呼び止めたのはハッシュだった

「少しいいですか?」


「俺もモビルスーツに乗りたいんです。三日月さんから団長に頼んでもらえませんか?」
「なんだぁ?またお前か
モビルスーツってのは戦闘の要だ、お前みたいな新入りに任せられるわけねぇだろ」
「三日月さんから団長に頼んでくれませんか」
「はぁ!?」
「うるさい」
「ん゛ッッ!?」

ユージンの話に聞く耳を持たず続けたハッシュの言葉に思わずユージンが声を上げ立ち上がろうとするとスっと後ろから伸びてきた手が

バチン!!

キレのいい音をたてて両手がユージンの頬を打つと、引っ叩いた超本人のイオナはそのまま手を話すと体を前乗りに出して圧をかけるようにユージンに体重をかけた。

「お、いい音鳴ったな〜」
「容赦ないねイオナ」
「ちょっと静かにしてて」
「いってぇな!何すんだ!」
「人が大事な話してる時は騒いじゃだめでしょ」

"常識だよ"と静かに付け加えるイオナの視線は真っ直ぐにハッシュと三日月の2人に向けられていた。
自分の言葉を遮られたことには面白くない気持ちになりはしたが、真剣な目で2人のやりとりの成り行きを見つめる今のイオナの眼中に自分は居ないのだとわかるとこれ以上続けても無駄だと諦めユージンは渋々黙った。

「まぁまぁ、最初からだめって決めつけるのは可哀想だろ、ここは見守ろうや」
「お前までなあ…」

自分は面白くないというのに、目の前で何故か楽しそうにしているネフリーのヘラヘラとした顔に思わずユージンはまた小言を連ねそうになった。こっちはお前の妹に打たれたんだぞ、と
しかしネフリーの隣で同じくヘラヘラしているシノも相まってか呑気な二人に怒る気も失せてしまった。


「なんで?」
「モビルスーツの操縦に関しちゃ三日月さんが一番でしょ。だから…」
「そうじゃなくて乗ってどうすんの?」
「三日月さんより強くなります」

一見すると答えになっているのかと問いたくなるようなお互いキャッチボールをする気を感じられない会話を交わしたあと三日月が黙りこみ少し考えたあとに出てきた言葉は

「ふーん。分かった。オルガに言っとく」
「おい三日月!」

だった。傍で聞いていたイオナは緊張して握りしめていた拳のチカラを抜いて胸をなで下ろして喜び、その下では対照的にユージンが納得がいっていない様子で三日月に声をかけようとする。

「まあまあ、三日月が面倒見んならいいんじゃねえの。そろそろ下に一人くらいつけてもいいだろ?」
「そうそう…って言っても、あの三日月がちゃんと教えられるとは思えないからちょっと面白そうだよね」
「ったく…どうなっても知らねえぞ」

他人事だと思っているのか"面白そうだから続きが見たい"スタンスのシノとネフリーに止められ、呑気な2人に少し呆れつつもユージンも引き下がった。

「どうなってもさ、ハッシュはこれから苦労するだろうしきっと得るものはあるはずだよ。あの子ならきっと良いふうに転ぶんじゃないかな……ねぇイオナ?」
「え?……うん、ハッシュなら大丈夫だと思う。きっと」

突然ネフリーが話を投げかけるとボーッとしていたのかイオナは一瞬反応が遅れたが、ネフリーの問いかけにはすぐに肯定した。
返事を返すと"じゃあ私行くね"と急いで踵を返すイオナを見つめるネフリーの顔はとても満足げだった



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