家族 2



「これ、何処に置くの」
「おーリシュリお疲れ様……って、お前また横着してそんなに運んで…」


そう呆れるドルジの目の前でリシュリは「横着じゃない」と頬をぷぅっと膨らませている。仕草自体は可愛らしい年相応の少女のそれだが、その肩には大きな酒樽を2つ担いでいる。


「落っことして怪我したらどうするんだよ」
「落とさない、これくらい」
「お前馬鹿力だもんなあ」
「ふふん」
「だからって無茶な運び方すんのは違うだろ〜」
「う゛ぁっ、ぐちゃぐちゃにしないでよ……!」

リシュリから酒樽を一つ受け取るとドルジはぐしゃぐしゃとリシュリの頭を撫でる。それを嫌がってリシュリはその手を軽くはらった


「子供扱い!!!!また!やめてってば!」
「いやお前実際子供だし」
「子供じゃないーー!」
「そうやって地団駄踏んでると余計子供っぽいぞ」
「……」


そう言われるとリシュリは地団駄をやめてブスッとした顔でドルジを睨んだが、そんなリシュリには動じずドルジは「不細工だぞ」とリシュリを一蹴してリシュリの持っていた酒樽を取り上げた


「あとどれくらい残ってるんだ」
「これで終わり。皆もう休んでる

ドルジも早く終わらせて行けば?トーヤのとこ」
「何でそこでトーヤの名前出すんだお前は……っていねえ……」


ドルジが酒樽を置いて振り替えるとリシュリはもうそこには姿形もなかった。なんて勝手な奴だろうと思いながらドルジはリシュリを拾ってきたばかりの頃を思い出していた


いつも俯いて、ババ様の後ろにくっついていた口数の少なかったリシュリも今やすっかり村に馴染んでしまって、元気になってくれたのはいいがあんな育ち方をするとは誰が思ったろうか


酒蔵から出るとドルジは出ていったリシュリを探して辺りを見回した。すると遠くの方で子供たちと駆け回っているリシュリの姿が見えた。この村にはいない色素の薄い緑の髪は少し目を離してしまえば芝の色に消えて見えなくなってしまいそうで

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