出会いと別れ 4
リシュリがババ様と話をしてすぐ後のこと布団に入っても中々寝つけずに何度も寝返りをうっていると外が騒がしい。起きて外に出ると村の女が煌帝国の兵士に拐われたのだという。
それを追って出ていった男衆を見送るリシュリとババ様の二人の元に少し前に出ていったアラジンが戻ってき、三人は小高い丘の上で皆の帰りを待つことにした
「しかし、巨人を使いルフを使い、アラジンはまるでお伽噺のマギのようじゃなあ」
「マギ……?」
「マギを知ってるの?」
「あぁ知ってるよ」
「ねえ教えてマギってなんだい?僕はそのマギかもしれない。僕は自分が何者なのか探しているんだ」
そう、アラジンが尋ねるとババ様は昔話をしてくれた。リシュリもはじめて聞く話だったけれど話を聞き終わると前にもこの話をどこかで聞いたことがあるような気がして、もしかしたら……と考えていると「時にアラジンよ」とババ様がきりだした
「お主は何者かと言ったが、今はババの子であるアラジンじゃよ」
ポカンとしているアラジンに「友達はおらんのか」と尋ねると「いるよ。ウーゴくんとアリババくん」と返すのでリシュリは少しぷくっと頬を膨らませて「リシュリも」とつけ足した
「ならばお主はウーゴとアリババ、それとリシュリの友達であるアラジンじゃ」
呆気にとられてポカンと口をあけたままのアラジンを見てババ様は笑った
「可笑しいのぉババはお主が何者かこんなに知っておったよ?」
「ー!うん。ありがとうおばあちゃん
あのね、」
「なんだい?」
「僕は昨日煌帝国のお姫様に会って殺しあわない約束をしたんだ。」
立ち上がり、月を背にそう言うアラジンの表情は穏やかだけれどいつもの無邪気な笑顔とは違った真剣な表情で、どこか大人びているというか、貫禄さえ感じられて普段との差にひき込まれてしまいそうになる。本当に不思議な子だ
「だから戦争は起こらないよ大丈夫」
「アラジン……」
「ーーーお主は、」
「ほら、皆が帰ってきた」
そう言っていつもの顔で笑うアラジンの指差す方を見ると煌の馬車を追っていった騎馬隊が戻ってきたのが見える。近づくにつれ見えてくる騎馬隊の馬には男一人跨がり出ていった時とは違って連れ戻した女たちが一緒に乗っていた
丘を小走りに下り、リシュリは笑顔で一目散に騎馬隊の下へ駆け出した
「おかえりなさい!」
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