出会いと別れ 3



その日の夜、リシュリはなかなか眠りにつけずにいた。じっと布団の中にいても時間がたつほど余計に目が冴えてしまって仕方がないので一度外の空気を吸うため起きて家の外に出た。
外に出るとアラジンが大きな布に乗ってどこかへ行く後ろ姿が見えた


(……アラジン?)
「リシュリ」
「!おばあちゃん」

リシュリがアラジンのあとを追おうと考えていると家からババ様が出てくる。リシュリが側にかけよるとババ様は優しい笑顔をみせた

「眠れないのかい?」
「うん」
「…最近ずっと考え事をしていたじゃろう?それが原因かな?」
「……そうかも。おばあちゃんは何でも知ってるね」


そう、リシュリが微笑めばババ様も「歳をとると色々見えてくるようになるからのう」と笑った

「…リシュリ、お前はこの村の子じゃ」
「?当たり前でしょそんなの」
「じゃが、お前の故郷はここじゃない」
「……」
「行ってきてもいいんだよ」
「何が…」
「外の世界、知りたいんじゃろう?」

その言葉にリシュリは目を丸く見開いた。何も話さずともババ様にはリシュリの気持ちがわかっているんだと

「…本当になんでも知ってるんだねおばあちゃん」
「年の功じゃなあ」
「……止めないの」
「…止めないよ。リシュリは、村の皆と離れるのがこわいんだろう?」
「…」
「ダメだと思ったり、そこを見てもやっぱりここがいいと思ったらいつでも戻ってきていいんだよ」
「おばあちゃん…」
「お主はこの村の外のことをほとんど知らない、でもそれではお主の世界は狭いまま…見たいと、行きたいと思うなら行ってみて自分の世界を広げておいで」
「…でも」
「なに、ダメだと思ったらいつでも戻ってくればいいんだよ」
「…おばあちゃんは寂しくない?」
「そりゃあ寂しいよ、でもね大人にとって子供の成長は何よりも嬉しいものなんだよ。それに、どんなに離れていても家族だからね」
「…そっか、そうだよね」
「難しいことは考えなくていい。リシュリは、自分自身のやりたいと思ったことをやってみればいいんだよ

さ、あんまり長居すると冷えるからねえそろそろ中に戻ろうか」

「夜の寒さは老体にこたえるからね」そう笑いながら家の中に戻るババ様の後を追ってリシュリが家の方にかけるとその背を押すように草原を風が駆け抜けた。



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