diary

アニメ、漫画、小説、日常、等々

▽げんじょうほうこくといろいろ
新生活おちつきましてノラガミ連載を再開いたしました。
今まで通り捏造必至の誰得連載を細々と続けて行きますー
ノラガミのアニメが始まる前に連載を終わらせたいと思ってたのですが、そんなことには全然なりませんでした。何処までやるんですかね、10巻ぐらい??
場面もころころ変わりまして、分かりにくい上に情緒不安定気味のヒロインという二重苦。雪音と夜卜に好かれてるひよりやに嫉妬して、性格が歪んでいくヒロインをニヤニヤ妄想してるのはこの人格破綻者は誰ぞや笑
前迄自分の神器にって勧誘してた人が他の良い子にころっといってたら気にしちゃうよなぁと。

訪問して下さって、本当にありがとうございます。こんなんで良ければどうぞお付き合いよろしくお願いします。


2015/09/22 17:14


▽こもごも
やっとGW!と思ったら既に大型連休が終わりに近づいております。
4月から生活が一変、朝方にんげんになり、夜は疲れて帰ってねるだけと言う生活に…趣味の時間も取れず…、しかしどうしたものやら…。
ノラガミの原作も全く追えてません!原作が確信に近づく前に終わらせたいのですが……思うように行かず。少し書き直すことを考慮に入れつつ…、
ノラガミアニメ二期やるみたいですね!!おめでとうございます!!それまでには…!どうにか!連載に収拾を付けたいです!誰得の連載ですがおつき合いお願いします!
そして、これまた誰得のディーノ連載を書きつつ…という。


2015/05/04 18:47


▽4月
社会人って大変なんですねえええええええ

2015/04/11 23:08


▽私事とお知らせ
倉庫に打ち込んでいた連載を準レギュラーに昇格させました。
管理人が前サイトで書いていたREBORNの連載になります。
お相手は主に跳ね馬ディーノとなっております。ずうっともう何年も何年も書いちゃ消しブレブレの代物、リボーンはもう旬ではなくなっているかも知れませんが、思い入れが強い作品ですので完走させるべく頑張ろうと思います。一応もう、3年くらい前ですか…かき切った一部はほぼ加筆はせず、手直しだけにして、むやむやに終わりました二部から書いていこうかと思います。
ひさびさに読み直してみますと、内容は稚拙で推敲もありはしませんが、その分、勢いと素直さがあります。今は何だか自分でも小賢しいといいますか無理にこねくり回し過ぎて残念になってしまっていると何となく実感しています。自分で自分が残念でなりませんが仕方ありません書けないものは書けない。大したものでもないのに執着もいい加減にしろとため息をつく自分がいますが、楽しみにしていますと言う方がいらっしゃったので、そのお言葉を励みに、砂浜に文字でも書くつもりで、波にさらわれても、諦めず性懲りもなく固まって詰まらなくなってしまった石を積み上げて行こうかと思っています。私はその方の言葉に助けられここにおります。読んで下さる皆様に感謝申し上げます。
長らくサイトを放置してしまいまして申し訳ありませんでした。これからも産土もよろしくお願い申し上げます。


2015/02/23 02:51


▽企画提出、ハイキュー
ウェイカウェイカ朝です起きろ、目の覚ます時分ですよ、まだ微睡むようだったらその横っ面叩いて目を覚まさせてやるから。
意味が分からないでしょう。何が私の中におこっているか、理解する日は永遠に来ない。
自分でも分からない。唯、刻が来たとだけ。
ちいさな手を二人でつないで歩いたね、あの公園。
「だいちゃん」
したったらずの口から慣れ親しんだ愛称が、五分と待たず私の口から飛び出して。
私の世界は貴方のみでした。
「うん、いこうか」
貴方の手はあたたかでした。ザンバラで固い髪をした私の幼馴染。
私の伸ばした髪に指を通すのがお気に入りの癖だった。

「大ちゃん、大ちゃん」
「はいはい、いきましょうかね」
うん、とおもいっきりうなずいて、スキップして定位置の左側。
差し出された手を取って。
「何か、いいことあったの」
「どうして?」
「うん、ちょっとねー。すっごくいいこと、あとで、大ちゃんにも教えてあげる」
「っそー。じゃあ、あとで教えて頂けますかね」
「うんっ、きっとびっくりするから」
「こらこら、引っ張らない。今日はうちで食べていくだろ?今日はうちも仕事だし」
「だねー、あーもうご飯の話しないでよ。お腹空いてきちゃうじゃない」
「ちなみに今日は澤村家特製、親子丼です」
「もーやーめーてーよ!まだ五時前だっていうのに」
「そのまえに今日はテスト勉強な」
「もう、いじわるだなあ」

何故かな。大地と手をつないでるとね。嬉しい気分になって、
「うふふー」
「やけに今日はごきげんだな」
「大ちゃんとてーつなぐの好きー。大ちゃん大好きーー!!」
「それは光栄」
「だから、大盛りで頼む」
「はは、食べ物に関しちゃ手段無しだな」
「そーんなことないよう、本心だよう」
「はいはい、俺も俺も」
心も体も浮き上がっちゃう。ふわふわして、いてもたってもいられなくなる。
昔から、ずっと、たぶん恐竜が絶滅する前の前の前から、大地の左手は私の右手のモノ。
長く伸びる二つの陰。ブランコのきーきーと鉄が擦れる音。
迎えが来ない子供。沈む夕日を背に、一人で砂場を弄る。また一人、一人と、子供が減る。母親が名前を呼んで、腕の中に飛び込む、無邪気な顔。怨嗟の気持ちで地面と睨めっこして、涙をぐっと我慢していた。
「一緒に帰ろうよ」
「だいちゃん」
「知ってる?俺たち、家が近所なんだ。俺のお母さん、今日は居るから、連れて来いって。
今日はさ、俺のお母さん貸してあげる。特別だから。だから、」
泣かないで。

泥だらけの手を恥ずかしそうにズボンで拭いて、置く目もなく、泣いている女の子に差し出す。昔からそうだった。大地は酷くやさしくて、あったかくて、お日様の匂いがする。
「大ちゃん、あの公園、覚えてる?いつも一緒に遊んでた。
大ちゃんは、いっつも、私が来るのを待ってくれたよね」
行こう、その公園に行こう。今すぐ行こう。
ぱっとした私の思い付きに嘆息しながらも、いつものことと頭を掻きながらしょうがないと私の先導についてくる。手はつないだまま、いつまでも、いつまでも、繋がれた。
私達の陰、この日も、妬けるような夕暮れ。なにが特別でもない。
あの、今も色あせぬあの時の大地の背中。涙まじりで霞んだ視界。それが今に繋がっている。
大ちゃん、大ちゃん、私と、ずっと一緒にいてね。ひとりにしないでね。
私を嫌わないでね。置いてかないで。ずっと私と遊んで。私よりも仲良い子作っちゃいやだよ。約束だよ。絶対だよ。
うん、うん、わかった。何度もうなずいてくれた。力強い腕が私の力の入らない体を必死に引き上げようと、温かい所へ戻そうと切実な子供の真剣さで、私のSOSを拒否しないでくれた。風に拭われる涙。結局遅くなってしまって、何やってたの、と一緒に怒られてくれた。
あの時の約束を今も大地は大切に守ってくれている。
だから、だから、私も大地を大切にしたいんだよ。


「ちっこい頃は広く感じたけど、未だと狭く感じるな」
「だねー、懐かしい」

夕日は最後の輝きを赤く赤く、その向うに闇を隠して。
私達は、ブランコを引く。きーこきーこ。こんなことがあったね。あんなことがあった。
まるで、二度と会えない遠くにいく恋人を名残惜しむように、あのころの思い出は、それから、ずっと、いままでも、そう、これからも、ずーとずーっと。大切なものだから。

「ねえ」
「なーあーに」
「今日、なんか、ヘンじゃない?」
「そーおお?」
「なにかあった?」
「なーんにも」
「本当に?」
「本当に」
「本当?」
「気になる?」
「気になるよ、お前のことだもの」
「そっか」

ぎぎぎい、と頂点にいって、私を簡単に放り出す、ブランコ。
当たり前だ、私が手を離したんだもの。地面に綺麗に着地。がが、となる靴底。砂がはいる。振り返って、笑顔を。

「うれしい」

くるっと向き直って鉄の囲いに腰を任せる。ひとこと、ぽつりと私の名前。
何かを察した大地が瞠目してこちらを見ている。
なにかと思ったら、私、ヘンな顔してるんだろうな。勝手に唇が歪む。勘弁してほしい。
そういうの、大地は聡いんだから。でも、悲しいって、この胸のつぶれる様な物がさみしさなら、
私、本当に幸せ者だったんだなあ。
何かを言われる前に、言葉をはさむ。

「大ちゃん、バレー好き?今年、有望な一年生、入って来たんだってね。言ってたもんね、今度は本当に良い所まで行けるかもって、大ちゃん、夢だったんだもんね。春高、だっけ?
その為に、烏野高校にはいって、バレー部に入って、ずっと頑張って」

躍起になって部活を熟して、イキイキしている大地を見て、私は嬉しくなった。
自分のことのように嬉しかった。
ほっとしたの、やっと、大地のなかの輝く何かを見つけられたんだって。

「大ちゃん、だいすきだよ」

「大ちゃん、わたし、好きな人ができたの」

やっとその時が来たんだもの。
愛をささやきながら、他の人が好きだと嘯く。
この気持ちは、大地には分からないでしょうね。
私を優先してきた、優しいあなただから。
大好きだよ、だから、時が来たら、返してあげないといけないと思った。必要としている場所へ。必要とされている、私達の閉鎖された檻の様な世界から、もっともっと遠くへ、行って欲しい。

「勘違いされたくないから、明日から、一人で学校は行くことにするね」

「これがさっき言った、いいこと!
さーかえろ、もー話しこんでたら真っ暗になっちゃったよ。親子丼、おーもりでよろっ!」

ひっぱりせかす私に戸惑いながら、それでも従う大地。
薄闇に、帰路に就く私達。何時もと変わらぬ会話。そこに住まった一抹の不振とぎこちなさ。「まさかねえ」と感心を見せる大地の純粋な驚き。
からからと形だけは回る、中身のない会話と、いつも通りを崩さぬようにと自然にふるまおうとする二人の努力。紅を黒が浸食してしまったように。崩壊する世界は、戻らない。
右手が泣いている。さみしい、さみしい。
結局、私のそれは、依存か、執着か、愛着か、情か、友愛か、はたまた、長い長い甘酸っぱい片思いであったのか、何かの形になる事はなかったけれど。
誰よりも大切に思っている。
だからだから、そこに、愛、はあったんだと、私は思うんだよ。




HQ企画サイト様に提出いたしました。
ぱーと書いたので、大地さまの人格行方不明。
とっぽいにーちゃんを目指しました。


2015/02/19 02:43


▽近況
慌ただしい生活も今日でおしまい、今日から好きなだけ本も読めるし、アニメを夜通し見ても怒られない。ひたすら惰眠を貪ってもよいし学校行かなきゃならない脅迫観念からも解放される。
なんて、素晴らしいんだ!!


2015/02/16 20:11


▽ハイキュー、だいち
澤村大地、はキトクなやつ、だ。キトクは変わってるって意味で、辞書で調べたれそう書いてあった。感心する、けなげ、なんて意味もあるらしい。なんてきとくなやつなんだ。この人、変わってるなぁ、良くやるよ、が今場合の直訳。
その感歎こそ、澤村大地の為にこそあるのだと思った。

「ドッチボール、やらない?」

「やらない」

「そっか、じゃ、気が向いたら言って。


教室の外から澤村大地を呼ぶ声がする。他の子たちは、とっくにグラウンドに降りていて、比較的仲の良いクラスメイトは中々こない澤村大地を焦れてまっている。澤村大地は友好関係が広い。誰からも好かれているのだ。クラス対抗のドッチボールも、多分澤村大地が加わらなければ始められない。

「藤棚わかるだろ、その裏にみんな居るから」

みんなって誰だ、顔も名前もわからない、同じ年齢で同じ地区に住む、それだけで寄せ集められた赤の他人のことか。今もこれからも。



2014/12/24 00:27


▽ハイキュー、だいち
きっと、きっと。

あなたは私が、何をしても傷付かないと思っている。傷付いてもいいと考えている。

お母さんと二人きりの世界は、煮詰まった泥々の蜜の色をしていた。私は、ピアノが好きだった。お母さんが音楽が好きだったから。芸術に興味があり、表現者としての特筆すべき才能があり、誰にでも優しく、成績が優秀で、他人を傷付けない、絵に描いたような非の打ち所がない女の子だった。そうあるべきだった。お母さんがそうだったから。
ピアノなんて、練習が面倒臭い。沢山の習い事に費やす時間より、みんなと外で遊びたい。お母さんの思った様に考えようと思ったから、そんな思考はなかったことにした。なかったことにもされた。
時々、感情の防波堤が決壊して、涙が止まらない夜があった。数ヶ月に一回、波は私を襲って、荒波が終われば静けさが。虚しさと虚構に喘ぐぽっかり空いた穴のような物が全部何もかもを、わたしの全部を飲み込む気がする。
私はピアノの鍵盤の弾き方と、勤勉さの崇高さ、勉学の素晴らしさを何度も解かれていたけれども、自分との向きあい方がわからなかった。誰も教えてくれなかった。どんな鋳型をとっても、その人自身には、なれる筈もないのにね。


私たちは長年住んだアパートから引っ越した。よく今まで私達二人を支えられたと思う程煤けて歩くとギシギシ音がなるので息を止めるみたいに静かに暮らしていたがそのボロいアパートは私たち二人と私のお父さんとの思い出が其処彼処に残っていた。柱の傷、タバコの灰を落とした後、二人で立てた小鳥の家。お父さんの温もり。大家が新しい新築の一戸建てを建てて売り出すとかで、通知が出てすぐ追い立てられる様に家を出された。
部屋を出る一瞬、「二人で頑張りましょうね」強く私の手を握っていった。何を頑張るつもりなのかわからなかった。私達が食い潰していたのはお父さんの命の代償のお金だと小さい心ながらわかっていたのだ。

住所は不特定で、いろんな場所を転々とした。お母さんは近所の人と大概不和を起こして、ここじゃない、私の居場所はここじゃない。今度はもっと暖かい場所にしましょう。言い聞かせるみたいに私が頷くのをまって、鼻歌混じりに荷造りを始める。ピアノの楽譜はダンボールにしまったまま、次の引越し業者に引き継がれる。私の手に渡ることなく、季節の外れた衣類なんかと一緒に積まれていた。近日、鍵盤に手を触れていない。お母さんの興味の対象は新天地更に何処かにある桃源郷にあって、何回か目の引越しの時に業者に引き取られていった。お父さんが買ってくれた私のピアノ。梱包されて行く黒の光沢をぼんやりながめながら、寂しいってこんな気持ちなのかな、と胸元のブラウスをにぎった。

田舎、とは、本当に何もないところだ。東京の街に住み慣れたシティーガールの私には、まず、二十四時間のコンビニが手近にない事にまずびっくりした。遊んできまぁすと玄関をかけだして、きんじょの公園に行ってみた。ただの野っ原に一応第一何々園と漢字で書いてある、開けた場所で、御老体がゲートボールをしている。何だか、違う世界に来てしまったみたいだ。静かで、苛ませるような騒音もない。こんな所を選んだお母さんだ。どう言う趣向の変わりようだろう。すぐ、どうせ引っ越すことになるのだから、愛着はなるだけ持たないようにした。指折まった少ない友達との文通が絶えた。元々筆まめとは大抵思えない子だったけど、物理的な距離は心も引き離してしまうんだ。現実を叩きつけられ、心がとった防衛本能は、何も好きにならないこと。何処かが凝り固まる。上手く行かなくなる。

「あらやだ!すっごい美人さん!」

新しい小学校へ教師との顔合わせを済ませ、引越しの挨拶をする為に近所に粗品を配り回った。いよいよ明日から転校初登校なるぞの休日にネクストドアの住人のドアのインターホンを鳴らす。平日に伺った時は、留守だった。お隣と言うことで世話になることもあるだろうと改めて挨拶に伺ったのだ。軽快な応対でわざわざどうもすみません、にこやかに挨拶をしつつ出てきた女のひとは、お母さんと私を見て、あっと声を上げた。

「あ、ごめんなさい!新しいお隣さんにお子さんがいるのはご近所から聞いてたんだけど、お母さま、ですよねぇ、こんな垢抜けた美人さんだとは思わなくって!あら、お嬢さんもお母さまに似ててすっごく美人さんなのねぇっ、」

かくゆう女の人もまだ若いように思う。三十辺りのじゃないだろうか。頬のあたりで綺麗にカッティングされた黒髪に清潔感がある。私たちはそのエネルギッシュさに圧倒された。何時もなら「どうもお世話になります」と挨拶を済ませ、頓着なく紙袋を渡すだけのお母さんが、勢いに蹴落とされて、虚を突かれた顔をしているのがわかった。

「実はねえ、内にも同じぐらいのこが…、でも息子だから元気盛りのわんぱく坊主なんだけど。今遊びに行ってて居ないけど、後で御宅に伺わせるわ!
仲良くしてやってねー?お母さま、ゆりえさん、もね」

「はあ…、こちらこそ、お世話になります…」

完璧な母親を浮かべる筈のお母さんの表情が妙に硬い。同じ年頃の母親としてはタイプが対局だった。お母さんはなんだか透き通ったガラス細工の繊細さが有って、触れなば壊れてしまいそうな危うさがあるたおやかな淑女のイメージがある。人前でのお母さんはいつもパリッとしたスーツを着た完璧の人で、少し緊張させた肩に張り詰めた空気を持っている。でも、この女の人は、しなやかな青竹だ。美人とは言いがたいかもしれない。でも、ジーパンに簡素な無地のシャツだが、洒脱な中に清潔感がある。

「では、同じクラスになるかもしれませんね」

硬く、愛想笑いを浮かべるお母さんの考えている事が手に取るようにわかる。
お母さんは、この手の馴れ馴れしい世話好きタイプが心底嫌いなのだ。あれこれ手を出してプライベートスペースを侵す人間はお母さんの苦手にする人だった。
お母さんはダンボールから必要最低限の食器を取り出しながら、隣でそれを棚に並べる私に愚痴を並べ立てた。「あれって結局、心の中では私達を見下してるのよ」「親一人子一人て、馬鹿にして。精々上に立ってるつもりでいなさいよ、何も苦労を知らない女はこれだから」「彼処の子とは仲良くしちゃダメよ。アレが親なら子もどうしようもないんだから」

その日の内にサッカーボールと一緒に私に会いに来た男の子を徹底的に無視した。学校でもむっつりと黙ったままでいたら不思議そうな顔をしながら、自然に男の子は離れていった。男の子は、屈託無く、あったかそうな太陽の手を差し出して、よろしく、と笑っていた。何でまっすぐこっちを見てくるんだろうと思った。私も、同じく、この子が嫌いだと思った。

すぐ、また、直ぐにお気に入りのお人形をダンボールに詰める羽目になるだろうと思って、片付けなさいと言われたのをこっそり無視してへやの隅につんでおいた。クラスメートとは全く口を聞かず、気が付いたら変わった嫌味な奴と言うレッテルを貼られていた。どうせ此処も思い出の中だけの場所になる。だが、様相が段々変わってきた。

ある日、家に帰っても、玄関の鍵が空いていなかった。二時間ほど玄関で立ち往生した。日が暮れ、街灯がつきはじめたころ、やっと帰宅したお母さんに家に入れて貰えた。夜まで長い時間の外出は珍しい。スペアの鍵を手渡し、不在を謝った後、隣にお呼ばれしていたの、とぽつりとお母さんが言った。あのお母さんが、人の家にお呼ばれを受ける。幼心に衝撃的な出来事だった。しかし、食事の時にはやっぱり隣のおばさんの悪口ばかりが飛び出して、馴れ馴れしいのよ、部屋を片付けなきゃいけなかったのに、と不機嫌そうに文句をいった。やっぱり、何時もの通りのお母さんだ。少し安堵する。しかし、それから、どんどん思わぬ方向に事態は転がり始める。


最近のお母さんの話題はもっぱら隣人についてだ。特に、お隣のおばさん、ユキコさんという名前らしいのだが、碌に話したこともないのに、お母さんがユキコさんユキコさんと連呼するので、耳に音が残っている。常に静かな湖面のようなお母さんだったのに、私が最近聞き手に回るなんて有るまじき事だ。学校の出来事を無理に誇張させて話す必要かなくなった。クラスで村八分の自分の立ち位置を聞かせればお母さんが悲しむに決まっているので、なるたけ当たり障りのない授業の事とか行事の事を平坦に聞かせると、私の素行に乱れがないと確認してはお母さんは満足げに微笑むのである。常に関心は私に有った。しかし、今の興味の範疇は隣人のユキコさんについてのみだった。隣人のユキコさんは、お母さんを良く、仕事の後に時間を作って、会社の同僚の誘いも断って、お母さんとお茶に行ったり、お高いフレンチを食べに少し遠くまで車をはしらせたり。お酒の匂いを纏わらせて、ほろ酔い気分でお母さんが帰宅した。まるで恋する乙女の様に、お母さんはユキコさんに恋しているみたいだ。親しい知り合いも手助けしてくれる親戚もいない寂しい子一人抱えた未亡人。あの初対面に見せた気軽い親しみやすさで、頑なな心を徐々にときほぐしていった。

母親の方は仲良くなったと対照的に、私は澤村大地、を無視し続けていた。何故か、裏切られた気持ちでいっぱいだ。私はお母さんが嫌いだと言うから操を立てて初日仲良くしようと差し出して来た手を引っ叩くよくな真似をしたのに、意を翻して、お母さんはその母親と楽しそうだ。その家に住み始めて二ヶ月が過ぎようとしている。新天地がどうのの話は一切出て来ない。

「え、ピアノ?なんで」

お母さんがここに自分の居るべき場所を見出したなら、やっと、ダンボールの中身を全部整理する必要がある。ぬいぐるみと一緒に陽の目を見てなかったソナチネの楽譜を昨日机の棚にならべた。
お母さんは料理中だった。サクサクと小葱をきり、冷豆腐に添える。

「あら、もういいのよ?」

しっかり出汁をとった株の味噌汁を二人分よそって、お盆の上に乗せる。何でもない事のようにからりと言った。

「今更、ピアノって。
習い事なんて、別に無理に続けるひつようないんだから」

何言うんだと耳を疑った。あれだけ、私に鍵盤に向かわせようと、それだけをいきがいの様に熱心に私を躾けていたのに。お母さんの変化を目の当たりにした瞬間。母親一人で子供一人を育てるのは苦労も多いだろう。常に塞いでいるようなお母さんだったから、だから重すぎる期待にも応えようと思っていたのに。お夕飯にしましょうと、そのままお盆を私に渡して、だが、頭が麻痺したように痺れて、何かを求めて御釜を開けるエプロン姿の母親の後ろ姿を追う。

「あなたも大きくなったんだから、今度は自分のしたい事を自分で見つけなさいよ。私に言われたからじゃなくて。
あなたには、主体性ってものが足りないと思うのよ。自分から行動したことなんてほぼ無いじゃない、常に私が付いてあげられる訳じゃないのよ?」

確かに、お母さんは、変わったんだ。
押し付けるみたいな凭れかかる愛情を卒業して、外に目を向け始めた。外出が多くなった。それとも、何も変わって無いのかもしれないとも思った。興味の対象が映っただけ。より安心して寄れる気に寄り添っただけ。
日毎に私にかまける比重が少なくなって行くのは変わらない。止めることは出来ない。
お母さんのその時の言葉は天地がひっくり返るほど衝撃的だった。
寄る辺ない。ひどく突き放された、気分。うん、そうだね。わかった。その時は、そう素直に応えたけど、今ならその身勝手さが分かるよ。

我が子への甘えか。
そうやって身をひるがえせる相手が私しかいなかったんだ。
彼女の中では唯一の権利になっていたのだから。



2014/12/19 08:37


▽ハイキュー、さわむら
その日は雨が降っていた。ゲリラ豪雨が首都圏を襲い、地面はにわかに湿っているが雨粒はなく、油断して置き傘をしたら見事に降られた。全身ずぶぬれで、こういう時に限って家に鍵を忘れてきたことをドアを目の前にした段で思い出す。
濡れた服が体温を奪い、震えが止まらない。しようがないので鉢の裏の鍵を拝借して、沢村家で雨宿りをすることにした。震える手で鍵を差し込み、中に逃げ込むと雨音が遠ざかる。下駄箱の玄関窓の明かりは薄暗い。雨は続くようだ。当たり前だが、家には誰もいない。薄暗い部屋を明るくしようとスイッチをつけると部屋がぱあっと明るくなった。私は迷いもなく、シャワーを拝借することにした。


「うわ、何その恰好」
大地も袖と鞄を濡らして帰ってきた。私のように全身ずぶぬれになる愚行は侵さなかったらしい。まだ、5時前。いつもなら、部活中のはずの大地がよもやこんな早く帰ってくるとは思ってもみなかったのだ。その恰好と大地が驚くのは当然のこと。私はキャミソールと下は下着のみ、肩には申し訳程度に肌を隠すバスタオルをかけている格好だ制服は乾燥機の中だ。さすがにぎょっとして、文庫本を取り落す。ぎゃ、なんでこんなに早いの?という疑問に、何やってるのと嘆息し私の手のひらに文庫を戻しつつ、至極まっとうにこたえる。
「今日は部活はオフだよ。言ってなかった?あなた、待ってなさいって、ちゃんと聞いてなかったの?傘、入れてあげようと思ってたのに」
「あはは、お見苦しいモノをお見せしてしまった」
「早く、服着なよ。俺の貸してあげるからさ、流石に俺でも目のやり場に困る。一応女の自覚持ちなさいって、ね。」
「ご、ごめん」
大地は答えを聞く前に、洗濯物から、パーカーとジャージを適当に見繕って、私に手渡す。もふ、と大きめのパーカーを被ると、大地のにおいがする。大地の服からは大地の家独特の柔軟剤か洗剤のにおいがする。大地は私が着替え終わると、よし、と言って、私に料理を手伝うように促した。いつもの大地だ。
今日は、二人でお鍋、そのあと、卵を溶きいれて、おじやにした。具材のだしが聞いていてとてもおいしい。体もあったまる。
大地は終始無言で、二号分のおじやを平らげた。私と大地の間には、会話はそれほど多くない。それは長年の既知の中がそうさせていたのだし、別に気を使って、話題を振らなくても、相手が不快に思わないのは承知していた。何となく、ぽつり、ぽつりと今日の出来事を自分気ままに出して報告して、そう、だけのぶつ切りの会話が私たちの中で成立する。これは幼馴染ならではなことなのか、空気を読む、読まないではない。私たちの決まった間合いを共通の友達は独特だという。お互いに考えていることも、何となくわかった。今日は話したい、落ち込んでいる。話しかけてほしい、笑わせてほしい。そばにいてほしい。不思議な以心伝心。大地は私が何となく憂鬱なとき、ゲームに誘ったり、わざわざ私の部屋に来て夜遅くまで寛いで、そばにいてくれたりする。対して、大地が、触れてほしくない話題は降らなかったし、部活でこうしたああしたの愚痴を積極的に話題を振って発散させてやったりする。
食事中、大地は思案顔で、難しい顔をしていた。今日、学校で嫌なことでもあったのかしら。大地は、基本温厚だが、起こると怖い。終始笑顔を浮かべていて、気さくだが、頑固者で、一度決めて事は意見を変えない。大地はあまり弱音とかそういう負の物を吐き出さない。だから、私が黙って、食事に専念することが、この場合の正解だ。自分のよそったお椀の中身をおさめ腹を落ち着けた私は、ほ、と幸せのため息を吐いた。
「思ったより、だな」
「ん、なに、大ちゃん」
「百合って何気スタイルいいよな」
「え、何の話?」
食事の手を止めて、こちらを見ずにぽつりとつぶやく大地。
「胸、けっこうあるよな」
「わあ、大ちゃん、ぶっこむねえ、そうよ、うらやましいでしょう」
「男の俺がうらやましがってどうするのよ」
「まあ、女子の平均程度はあるんじゃない?普通」
「女子の平均がそもそも俺にはわからないよ」
きわどい話題もなんのその。あははと茶化してしまえば全部馴れ合いの冗談になる。
「なによ、大ちゃんのエッチ。私の下着姿にほれぼれしちゃった?」
「目がつぶれるかと思った」
「見るものはばかられるってか?ひどい、大ちゃん!」
食後は、二人でかたづけをして、皿をきれいに洗って、あとは二人で適当に今でテレビでも見て食休みするパターンだ。今晩も、大ちゃんのお父さんお母さんは遅い。互いに共働きの両親を持つ私たちは、お互いで一人の心寒さを共有しあう。
お笑い芸人がひな壇で騒いでいるバラエティー番組を見つつ、ソファで、ファッション雑誌をペラペラめくる。そんな私に大地が明日の宿題は?と聞く。
「明日、学校で片づける。今やりたくない」
ゴロンとソファに寝っころがり、大地の膝を枕にすると、異様に嫌がって、勘弁してくれと言われた。
「いま、足、筋肉痛なの。やっと、練習に体が追い付いてきたとおもったのにさ」
「そーなんだ、ごめんごめん」
私は起き上がり、大地の横におとなしく座った。なんか、眠くなってきたなあ。雑誌にも飽きて、番組が終了のテロップを流し始めたころ、何かが、私の胸部に触れた。
「ホント、意外とある」
両対の膨らみに押し当てられる両手が背後から伸びている。初めは混乱し、執拗に、弾力を確かめるいたずらな両手を意識しつつ、何の冗談だと私は笑い飛ばした。しかし、少し言葉が上ずる。
「でしょ、でしょ。意外となんて、失礼な、私は着やせするタイプなんです」
「いばらないの、言わぬが花ですよ、百合さん」
探るような手つきは、不快ではないが、むず痒い。それになんだかじれったかった。変な感じだ。どうすればよいのかわからずに、心臓の心拍数が上がる。胸をまさぐる手の片方がおもむろに、パーカーの袖にかかり、潜り込み、腹を探る。
「ちょ、くすぐったいんだけど、大ちゃん」
やんわりと腕を抑えてゆく手を阻むが、どうやらのくきはないらしい、と私を抑え込むつからが強くなり、私は抵抗することをあきらめた。
苦しそうな、何かに耐えているような、大地の真剣な表情が痛い痛いと泣いているようで、押さえつける手も、厚い溜息も、何もかもが私を欲する心がそうしているのだと思うと、子供をあやすような気持ちになるから、不思議だ。嫌悪感はない。むしろ、自ら背中に腕を回した。




2014/12/16 01:55


▽復活いたしました
一か月ぶりの更新にうぶこ自身驚いているのであります。
私生活が落ち着いたと言うより、各時間が少し偶然に出来たと言う方が正しいようで。
一ページを描くのに二時間以上かかるうぶこはやはり書くスピードが遅いということでしょうか…、今後も更新は不定期になりますすみません忙し自慢ではないのです本当に一時とかにしか家に帰れないのです…一応、未完成でも晒していくか、えいやーとーいう気分になりましたので、通学時間とか空いてる時間にちょっとずつ進める感じになるかと…誰への言い訳なんだろう…


2014/11/29 01:27


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