例えばそれが、【逆転宮牧】宮田が村の汚れ役だなんて、誰が言い出したのだろうか。
実際は、私の方がよっぽど汚れているのに。
「牧野さん、またですか」
もう幾度目になるだろうか。
汚した法衣もそのままに、宮田医院へやってきた。
「全く、今日は患者が多くて忙しかったというのに」
「…すみません」
私の手には、ネイルハンマーが握られている。
血で、汚れた。
「ちゃんと隠してきましたよね?誰かに見られたら一大事ですよ」
「ええ。前に言われたようにしてきました。」
「なら結構です。」
そういって立ち上がり部屋を出ようとする宮田さんに抱き付いた。
「…ごめんなさい」
「謝らないで。」
「いえ、ごめんなさい。私が」
「本来ならば俺のやることです。牧野さんは悪くない」
「でも…あなたにはこんな事させられない…兄さん。」
いつまでも抱きつき離さない弟を引き剥がし、兄さんは死体を処理しに行ってしまった。
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