親心子知らず 1/6医務室で目が覚めた。
地下で、マクゴナガル先生にお説教されているのが最後の記憶だった。
「………はあ」
むくりと起き上がり、ひとつため息をついた。
ベッドがギィ、とないた。
「お目覚めかの」
さっと、カーテンの後ろから出てきたのはダンブルドア先生だった。
「ダンブルドア先生…」
「リシュヴァ、あの力を使ったのかね?」
「ああ…はい。杖を持っていなかったし、緊急事態だったので」
ダンブルドア先生は、半月メガネの奥で目を細くさせた。
「リシー、その力は強大で、強力じゃ。わしにはそれの全てはわからんが、じゃが、わしらの使う魔力とはまた違った魔力だということはわかる。その力は…きっとわしの持つ力など一捻りにするじゃろう」
「………」
「普通じゃとこの世界では使わない力じゃから、行使すると本来より余計に体に負担がかかって、寝込むようなことになってしまうんじゃろうな」
「…そんなにすごいんですかね、これ」
ポケットから、緑の四つ葉形の魔石が埋め込まれた金色の釦をとりだした。
角度を変えると、こぼれた光を反射してキラキラと光った。
「綺麗じゃの」
「綺麗ですね」
「それは、君の星のものじゃったな」
「はい。そうですよ」
「………」
「どうしました?」
「いやなに、何だか君を見ていると、わしがちっぽけに見えてきただけじゃ」
「なんですかそれ?先生は大きいですよ」
「いや、わしなんか、ほんのちっぽけな一瞬の光に過ぎんのじゃ」
「そんなことないです。少なくとも私の中のダンブルドア先生は、おっきくて、偉大で、眩しいくらいのあったかい光です」
またダンブルドア先生は、目を細くさせた。
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