親心子知らず 2/6
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あまり力を使っていなかったので、今回は1日で目が覚めた。
11月の空気は、とても冷たく感じた。

「(私の…誕生日、そういえばもうすぐだ)」

そんなことを考えながら、落ち葉を集めた。
一昨日のこともあり、今度はちゃんと取り出しやすい場所へ杖をしまった。
ホルダーまで作ったのだ。

ピィィイイーーー…!!!

ホイッスルの音がする。
クィディッチの練習かな、グラウンドからそれは聞こえた。

「リシュヴァ」
「あ、セブルスー」

渡り廊下から、中庭にセブルスがやってきた。
足を引きずっているのに、目が止まった。

「もう具合はいいのか」
「うん…セブルス、その足どうしたの?」

セブルスに聞いてみると、足をマントで隠されてしまった。

「別に、何でもない。気にするな。」
「…そっか。でも痛いなら治療を…マダムポンフリーのところに」
「いい。余計な世話だ」

さらに睨まれてしまった。
セブルスは昔からこうだった気がする。
傷なんかを作っても、全然平気そうな顔をして。
自分の巣へ戻ると、一人で泣くのだ。

「ところで、何かよう?」

話しの線路がずれてまったので、改めて聞いてみた。

「あ、あぁ。お前、なんでわざわざクィレルに接触したんだ」
「え?ほら、考えてることをさ、より読み取れるようにかなあ。」
「馬鹿か、お前。開心術ならとっくに試している。」
「んー、開心術とはまた違うものなんだよね。なんというか、その人の深層心理というものをよみとるわけだよ、仕草とかから。」
「それで?」
「ダメでした」
「ダメでしたか」
「こういうのはさ、従兄弟が得意なんだよね…。君と同じ薬学を専攻してたよ。まあもっとも、あれを薬学というのかは別として………」
「はぁ」
「あ、ねぇセブルス、あのトロールってさ、やっぱり?」
「ああ。クィレルがやったんだろう。あいつはトロールに関しては知識を持っているからな」
「証拠は?」
「…。あの部屋だ。」
「あの部屋?」
「そう…。トロールが、居なかった。」
「え?」
「仕掛けだ。あいつの仕掛けたトロールが、あの部屋に居なかったんだ。あの日、確認してきた。」
「へぇ…だから…」

また私はセブルスの足に目を落とした。
すると、血がどくどくと、真っ赤な鮮血(見ているだけでも痛くなってくる!)が中庭の土に染み込んでいた。

「せ、セブルス!ねぇ、やっぱりそれ、マダムポンフリーに」
「っ!…うるさい。」

キッと私を睨むと、セブルスはどこかへ歩いていってしまった。

「あれ絶対痛いって!」
「どこか痛むんですか?」

後ろから声がした。
振り向くと、クィディッチの指導をしていたのか、競技用の装備でゴーグルを首から下げたレギュラス君がいた。

「私じゃなくって、セブルスが…。ねぇ、何か知ってる?足、すっごい怪我してるよねえ?」
「ああ、あれですか。あれは…あの、野良犬に噛まれたと」
「は?野良犬?」

私は思わず聞き返した。

「はい、野良犬。それ以上は教えてもらえなかったので…」
「はぁ…。野良犬ねぇ。」

野良犬なんて、よく言ったものだ。
きっとあの足の傷をつけたのは、ハクリッドの三頭犬だろう。
セブルスにしては、つまらないミスをしたものだ。

「ありがとね、レギュラス君」
「いいえ。どうということは」

それじゃあ、と言ってレギュラス君はまたグラウンドの方へ、文字通り飛んでいった。


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