似て非なるそれぞれ 3/3
bookmark


駆けつけてみると、フィルチさんとピーブズが言い合っていた。

「どうぞと言わないならなーんにも言わないよ」
「うるさいピーブズ、ごちゃごちゃ言うなっ」

そんな2人のやり取りを尻目に、いやな予感が当たりませんように、とまた走った。
すれ違うとき、ちょろちょろっとミセス・ノリスに手を振った。

四階、廊下、暗くて様子がわからない。

「ルーモス、マキシマ!」

それでもよくわからない。
うぅ、やだなぁ、怖いなぁ、と思いながらノブに手をかけた。

「っ…!!」

何人かの、息をのむ音。
私はフィルチさんに、「ここにも居ないみたいです」と声をかけた。
それから、私は魔法で音楽をかけた。
とてもゆっくりした、子守歌を。

「さあみんな、どうしてここにいるのかな?」

腰に手を当て、少し厳しい口調でいった。
ちらっと外を覗いて、フィルチさんがどこかに行ったのを確認してからみんな、ハリー君、ハーマイオニーちゃん、ロン君、それからネビル君を部屋、もとい廊下の外へ出した。

「僕達、あの、違うんです!」

ロン君が言った。

「えーっと、あー、あの、」
「私達、マルフォイにはめられたんです。私は止めたんですけど、どうしても行くってハリーが」
「君も結局行くって行っただろ!」

三人が思い思い、てんでに好きなことを証言した。
その中で一人、ネビル君だけがオロオロとしていた。

「ネビル君は、どうして?」
「あっ、あの、僕…医務室へ行ってて…それで、寮に戻ったら合い言葉がわかんなくって…。そとにいたらハリー達が来て…」
「でもリシュヴァさん。戻るに戻れなかったのよ、太った婦人が何処かへ行ってしまって!」
「そうだ!僕達、戻ろうとしたら、太った婦人が…」
「わかった、わかった。わかったわ。じゃあ質問を変えるわね。どうして、禁じられている"ここ"に居たの?」
「そ、それは…」
「走ってて…気づいたら…」

三人ともネビル君のようにもじもじとしだした。
だんだんと語尾が小さくなっていく。
私は腕組みをしながら四人をみつめた。

「どんな理由があったにせよ、就寝後に寮を抜け出すなんてもってのほか。ネビル君は…合い言葉をちゃんと覚えておいてね。よって、グリフィンドール一点減点」
「そんなっ…!」
「他の先生に見つかっていたらこんなものじゃ済まされていないんだよ?ここは素直になりなさい。」

私はぴしゃりと言った。
実際そうだろう。
フィルチさんに見つかればキツーいお仕置きが待っているだろうし、マクゴナガル先生ならもっと減点されてるだろう。セブルスなら即退学だろうな。

「さあ、私が寮まで送っていくから。静かにね」

ハリー君達は何も言わなかった。
ただうなだれて、とぼとぼと歩いていた。


prev|next

[戻る]

top
ちー坊:Remember
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -