黒百合と愛


私はいつから道を間違えてしまったのだろうか。

あの人が好きで、大好きで、愛していたのに。


「俺、今度結婚するんだ」


そう言った瞬間、私の中で何かが壊れる音がした。

「お前も式に呼ぶから、来てくれよ」

断れなかった。
だってあんなに嬉しそうな笑顔で私を見るんだもの。

式に行けば、中学校のカラフルな同級生に出会った。
でも、二人足りない。

青い彼と、桃色の彼女が。

それもそのはず、彼らは今日の主役なのだから。
この場にいないのは当然だ。

彼らを除いた同級生は、口々に言う。

「お前は何も変わらないね」
「あなたは昔のままですね」
「今もやっぱり相変わらずっスね」
「あんたはホント、そのまんまだねー」
「少し背が伸びたぐらいで、そんなに変わりないのだな」

皆が、昔と変わっていないと口にする。

そんなことないよ?

彼に振り向いてもらいたくて、髪の毛だって彼好みの髪型にしたし、スタイルを良くするためにダイエットだってした。

服装だって地味な服は全部捨てて、派手目のものにしたし、お化粧だって目が大きく見えるように、少しでも可愛く見えるように頑張った。

私はこれでも変わってないって言えるの?


「外見を言っているのではないのだよ。・・・・・・お前はまだ、あいつを諦められきれていないのだな」


緑の彼が悲しそうに呟く。
私が彼を、諦める?

そんなこと、出来るはず、ないでしょう?

いつだって彼の側にいたし、いつだって彼のこと支えてきた。
それなのに・・・

最後の最後で彼が選んだのは彼の幼馴染であり、私の大親友の桃色の彼女だった。
やっぱり最後は『幼馴染』なんだね。

でもね、結婚しちゃったらどうにもできない。
それは私だってわかるよ?

だからね、これからは毎日お花をあげる。

私が愛した人と、私の大親友のために。
毎日一本ずつ。

私が一番好きな花を、毎日玄関先に置いておくね。
二人とも、お幸せに。





「なぁ、さつき。玄関になんか花が落ちてたんだけど」
「花?」
「これ」


青い彼が自らの妻に手渡したのは、一本の百合。

だが、それはただの百合ではなく・・・

「黒い・・・百合?」

闇のように真っ黒な黒百合だった。
花弁の端から端まで漆黒に彩られた百合。

「・・・大ちゃん、それ、すぐに捨ててきて」
「あ?なんでだよ」


どうやら桃色の彼女は気付いたよう。
けど、遅かったみたい。

だってその黒百合はちょうど、444本目。

溜まりに溜まったソレは、きっと末代まで受け継がれるのでしょうね。



黒百合の花言葉は『呪い』。
私の想いがぎっしり詰まった黒百合は、きっと花言葉の通り、『呪い』をかけてくれたのでしょう。


私の彼への愛情はいつのまにか、憎悪に変わっていた。







END




あとがき


青峰とさつきちゃんの結婚に夢主ちゃんが嫉妬する、暗めのお話でした!

ホラーではないですよね…?
怖くはないですよね…?

実はこれ、ホラー短編の方に置くか、迷ったんです(;^ω^)
こっちで大丈夫ですよね?
多分(笑)

ここまで読んでくださった京様!
ありがとうございました!

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黒百合と愛



2014.04.08



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