今日からは
「征ちゃーん」
朝練の最中、バタバタと体育館に走ってきた彼女は僕の幼馴染みの京。
僕は練習を邪魔されるのが嫌いだから、練習中は滅多に体育館に来ないのに…
珍しいなと思いながら、シュート練の手を休める。
「何?」
「きょ、今日…さ…ちょっと一緒に帰れない…か、も…」
小さな声でそう呟いた京に、僕は目を細める。
「体調でも悪いのか?」
「いや、違うけど…」
幼馴染みである僕たちは家が隣同士で、幼稚園の頃から毎日一緒に登下校している。
体調不良以外はほぼ一緒に学校に来ていたのだ。
それを京は体調不良以外の理由で一緒に帰れないと言う。
「ならどうして?」
僕が理由を聞くと、京は目を泳がせる。
なんか…怪しいな…
「何か用事でもあるのか?」
「!そ、そう!用事があるの!だから、今日は…」
分かりやすすぎる嘘をついてまで一緒に帰れないらしい。
そんな態度をされると少し意地悪をしたくなってしまう。
「…そうか、そろそろ潮時なのかもしれないな」
「なにが?」
「僕たちの、この関係だよ」
そう言い始めた僕に、京はきょとんとする。
「な、なにが言いたいの?」
「そろそろ一緒に帰らなくても大丈夫だろう?京も高校生だし、僕が送り迎えしなくても大丈夫だろう、ということだ」
「え、待って…どうしてそうなるの?」
京はとても混乱し、泣きそうな顔で僕を見る。
ちょっとやり過ぎた…かな?
あ、ほら、目に涙が溜まってきた。
「そっか。でも征ちゃんがそう言うなら、もう終わりなのかもしれないね」
目線を下げてそう言う京は涙がこぼれないように唇を噛んでいた。
さすがにいじめすぎたな…
「だから、さ…この関係は今日で終わりだ」
「うん、そうだね…今までありがとうね。征ちゃん」
そう言った後に、彼女の大きな瞳からポロポロと雫が落ちる。
雫が伝う頬に手を当て、優しく拭う。
「今日から京と僕は恋人同士だね」
「……………………は?」
「違うの?」
先ほどまでポロポロと流れていた涙は一瞬で止まり、今度はパチパチと何回も瞬きをしている。
「京は僕が好きなんだろう?」
「え、ちょっと待って…なんで?」
瞬きが収まったと思ったら、次は顔が真っ赤になった。
可愛いな…
「僕も京が好きだから問題ない。今日からは恋人同士として帰ろうか」
「いや、あの、だから、その…」
「問題あるか?」
「…ないです」
真っ赤な顔を下に向けて、小さな声でそう答えた。
リンゴの様に赤く染まった顔を見たくて、頬に添えていた手で京の顎を持ち上げる。
「じゃぁ、これからもよろしくね?」
「は、い…」
真っ赤な顔、少し潤んだ瞳、小さく開いた柔らかそうな唇。
そのどれをとっても京は可愛かった。
そして自然に僕の視線は柔らかそうな唇へと。
「ねぇ、僕こと好きって言ってよ」
「…………好き……」
「名前は呼んでくれないのかい?」
そう言うとさらに真っ赤になる京。
「……征ちゃんが………好き…」
その呼び名はあまり好きではなかったが、恥ずかしがり屋の彼女にしては素直に言えたので今日は良しとする。
「今度からはちゃんと名前で呼んでくれると嬉しいな」
優しく微笑み、京に顔を近づける。
そして逃げようとする彼女の唇に僕の唇を合わせた。
「んっ…」
彼女の唇は想像通り、いや、想像以上に柔らかかった。
合わせた唇を離し、京の目を見つめる。
「京、好きだよ」
END
あとがき
赤司様初の夢小説ー!
よくわからんオチになってしまいました…
赤司様ファンの方すみません
ここまで読んでくださった京様!
ありがとうございました(*^^*)
拍手に赤司様が生息中ですので、もし良ければそちらもどうぞ!
今日からは
オマケ↓
オマケ
「で、今日の用事とやらは何だったんだ?」
「うっ…その。数学の補習に呼ばれちゃって…」
「はぁ…ほんとに数学苦手だね」
「だって全部暗号みたいに見えるんだもん」
「……じゃぁ、図書室で待ってるから」
「へ?」
「図書室で待ってるから、一緒に帰ろうか」
「!……うん!」
2014.02.27
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