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―春と花と―
雪も降ることを忘れたらしい
春の花が咲き始めていたずっと待って居た春だ
この季節をここまで待ちわびていたのには理由がある
それは春はじーちゃんとばーちゃんが生まれた季節だからだ
この日はばーちゃんを驚かせようと朝早くに起きて裏山へとやってきた
じーちゃんとばーちゃんに僕が春を届けてあげようと
花を摘みいっぱい綺麗を抱えて家に向かう
"喜んでくれるかな…もしかしたらおやつが増えるかも!"
そう思うと家に帰る道程もそう遠く無いように思えた
家に着くと共に元気にただいまを告げた
けれどもお帰りが聞こえない
ばーちゃんは珍しく今日は寝坊なのだろうか?
花を抱えながらばーちゃんの布団に向かう
…やっぱりまだ布団だ
「ばーちゃん?みったんかえってきたぞ?ばーちゃ…」
顔を覗き込むと明らかにばーちゃんの顔色が悪い
何だか息をするのも苦しそうだ
「ばーちゃん?!」
持っていた花をそこらじゅうにまき散らしばーちゃんを揺すった
そうするとうっすら目を開けて小さい声で
"だいじょうぶ"
次に今迄ばーちゃんが"大丈夫"と口に出した時の記憶が頭に巡る
「おばちゃん…!!!」
次には今迄無いくらいの速さで走り出していた
「おばちゃん…!ばーちゃんが、ばーちゃんが…!!!」
少しはなれたおばちゃんの家へ
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