十途渡屋
https://nanos.jp/ttt0kr/
Top Main Memo Clap Re: 
―強く―


どうやら疲れて眠ってしまっていたらしい
気付いたらもうお昼だ

何だかお腹も空いてお茶の間に行くと
ばーちゃんが笑顔でおはようと言ってくれた
でも、その笑顔にぜんぜん元気がない
いつも凛としていたばーちゃんじゃないんだ

『じーちゃんが居なくなってしまったからばーちゃんは悲しいんだ
だから、ばーちゃんは元気が無いんだ
じゃあ、僕がばーちゃんの元気の元になってあげなくちゃ
これからはずっと僕がそばにいてあげないと!』

強く もっと強くならなくちゃ
ばーちゃんにもよく言われたじゃないか

”男の子なんだから泣くんじゃないよ”
”みぞれは強い子なんだから”

じゃあ もう泣かない
もっともっと強くなって
これからは僕がばーちゃんを守るんだ
それをそのままを言葉に変えて

「これからはみったんがばーちゃんをまもる!!」

そうばーちゃんに言ったら
しばらく僕をじっと見たあとにまた急に泣き出してしまった
どうしよう… 言っちゃいけない事だったのかな…

しばらく泣いた後に小さく小さく声が聞こえた

”ありがとう…”

いけない事じゃなかったんだ!
これからは僕がばーちゃんを守ってあげるんだ!

そう意気込んで 大きく手を上げた

多分じーちゃんはこの上にいる
ずっとずっと上の方に、お空の方にいる
なんとなくだけどそう言う気がする

だからじーちゃんに大きく手を振り上げて伝えた

”これからはみったんがばーちゃんを守るから大丈夫だよ!!”

何が大丈夫なのかは分からないけどそう伝えてみた

じーちゃんには届いただろうか?
じーちゃんには聞こえただろうか?

空にはもう真っ白い雪が舞い始めていた

[ 4/9 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]