十途渡屋
https://nanos.jp/ttt0kr/
Top Main Memo Clap Re: 
―白い人達―


朝、大きな足音に驚いて飛び起きてしまった
なんだなんだせっかく気持ちよく寝ていたのに!

そうほんの少し気分を荒立てながら
足音の方に行ってみると
じーちゃんが白い車に乗せられていくところだった

じーちゃんはこんな朝早くにどこに行くのだろう?
よくみるとばーちゃんが何か焦りながらじーちゃんを呼んでいた

じーちゃんはばーちゃんに内緒でどこかに出かけるつもりだったのかな?
だからばーちゃんはあんなに大声を出しているんだ

周りに居る白い人達にばーちゃんはなだめられながら
じーちゃんと他の白い人達と一緒に白い車に乗っていく
赤いランプと何だか大きい音をだしながら白い車はその内に見えなくなって行った

そのすぐ後におばちゃんが僕の家にやって来て
電話の前に座りながらずっとそわそわしている
何なのだろうとじっとを見ていたら目が合って
おばちゃんは小さく笑いながら「なんでもないよ」と言った

みんな何をしているんだろう?
じーちゃんとばーちゃんはどこに行ったのだろう?

おばちゃんに聞いてみても『大丈夫だからね』としか言わなかった
なにが大丈夫なのだろう? 僕はどこに行ったのかが知りたいのになぁ
そんな事を思いながらまだ少し眠かったのでそのままお茶の間で眠りに付いた

どれくらい経ったのだろう

いきなりの電話の音で目を覚ました
なんだかおばちゃんがよく分からない顔をしている
しばらく誰かと話して電話を切った後にいきなり泣き出してしまった

びっくりしてどうしたら良いのかわからなくて
僕は『大丈夫?』『どこか痛いの?』と焦っておばちゃんに聞いてみた
それでもおばちゃんは『大丈夫だよ』としか言ってくれない
どう見ても大丈夫じゃないのになぁ

その日はおばちゃんとご飯を食べた
ばーちゃんが帰ってきたのは少し遅い時間で
何だか悲しそうな顔をしている

ばーちゃんはおばちゃんと話したいから
今日はもうお休みと言いながら僕をお布団に入れてくれた

なんなんだろう分からない事だらけだ…
何だかなかなか眠れなくてしばらくゴロゴロしながら
今日のことを色々考えてみるけれどやっぱり分からない
そうこうしている内にうとうとしてきてそのまま眠りに落ちていった


[ 2/9 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]