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―さよならの挨拶―
あの後夜も遅いからともう寝ていてねと
おばちゃんに言われてお布団に入れられた
おばちゃん達は用事があるからと
皆は居なくなってしまった
ぼぅっと天井を見つめる
眠気なんかなくて
でもなにかする気にもなれなくて
しばらくするとじーちゃんの風車がカラカラと鳴った
なんとなくだけどじーちゃんが居るのかな?
と思って
「じーちゃん、ばーちゃん早く帰って来ると良いね」
「じーちゃん寂しんぼだもんね」
「早くプリン食べたいなー」
と、じーちゃんに話しかけている間に
少しうとうとしてきた
寂しんぼなのは僕もなんだけどね
それを思った時くらいに夢に落ちて行った
夢なのか、現実なのか、
じーちゃんとばーちゃんと僕と何時もみたいに
縁側でお茶をしている
「みぞれは、本当に大きくなったわよねぇ」
「そうだなぁ初めてみぞれを見た時は埃かと思ったからなぁ」
「じーちゃんは酷いなぁ僕は僕なのに!」
「はっはっはっ、すまんすまん」
イタズラに笑うじーちゃんが、なんだか懐かしい
「みぞれは良い子ですし強い子だから大丈夫ねぇ」
「そうだなぁみぞれは大丈夫だ!」
「ん?どう言うこと?」
ちょっとよく意味が汲み取れなくて
聞き返したところで少し視界が歪んだ
さっきまで縁側にいたじーちゃんとばーちゃんが
ゆっくり歩きだした
「どこにいくの?僕も行くよ!」
追いかけようとして
でも、何故か足が動かなくて
「みぞれ」
「強く生きてね」
テレビを切る時のように
ザザっと視界が落ちた
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