十途渡屋
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―二度目の―


おばちゃんを呼びに行ったら
顔を青くしたおばちゃんたちが僕たちの家に駆けてきた
ばーちゃんの名前を呼んでは走りまわっている
僕は言われたとおりに二階にあがり、待つことになった

少しあと、前にじーちゃんを乗せたことのある白い車がやってきた

つまさきからあたまのうえまで
ぞわっとしたここちのわるいねつがはしる

ばーちゃん?
ばーちゃん?

僕はぞわぞわした気持ちの悪い感覚で
身体が固まってしまって動かない

大丈夫、大丈夫、
大丈夫…

また大きな音を立てて車が走り出した
あそこにばーちゃんが乗ってる
じーちゃんが乗って行った
あの白い車に乗ってる

ずっと頭の中では大丈夫と言っている
けど、

けど、

朝に詰んだ花をかき集めて
じーちゃんのいる場所に持って行った

「じーちゃん、ばーちゃんがじーちゃんと
同じしろいのに乗っていっちゃった
大丈夫だよね?帰ってくるよね?じーちゃん…」

じーちゃんは相変わらず写真の中で微笑みを浮かべている
なんとなく大丈夫だよと言っているようにもみえた
なんだかちょっとだけホッとしてその場で眠りに落ちて行った

今朝は早かったからなぁ
帰ってきたらばーちゃんを驚かせなきゃ
あ、でもそれまでにお花は平気かな
ダメだったらまた摘みにいけば良いや

少しふわっと誰かに撫でられた様な感覚がした
それはとても心地の良いー・・・

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