非日常室内編*ゴミ箱
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慌てて着替えている最中に、ゴミ箱を蹴っ飛ばしてしまった。色々なものが散らばって、その中の絵の具チューブが僕のズボンに緑色の汚れを作る。
うわあ、と悲鳴ともため息ともつかない声を出すが、そんなものでは現状は打開できない。床に落ちている丸まったティッシュを、絵具をふき取ろうとズボンにこすり付ける。すると、グジュッと嫌な音がした。どうやら精液らしかった。死んでしまえと呪詛が漏れた。
もうそのズボンは諦めることにして脱ぎ捨てて、その辺に落ちているズボンをはいてみる。しかし慌て過ぎたのか転んでしまい、背中から盛大に倒れた。グジャジュニュウ〜っと嫌な感触が背中いっぱいに広がって、殺意がグレードアップする。本当に死んだ方がましだ。
転がるゴミ箱を見つめていると、奇妙な気持ちになった。僕はスーツを脱いでそこに投げ込む。三十センチほどの黒いゴミ箱は、許容量というものがないようで、何もかも飲み込んだ。だんだん楽しくなってきてタンスや机や布団、なんでも放り込んだ。ゴミ箱は文句ひとつ言わずに何でも飲み込んだので、やがて裸の自分だけが部屋に残る。何もなくなったのに、なぜかこの部屋自体がゴミ箱な気がした。











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