HLに憧れてSS
【バーガー】
「お姉さん!それくださいバーガー!」
「え?それってこのバーガー?」
「それ!お願いします!僕に売ってくださいそのバーガー!」
「うーん、まぁいいか。多めに買っておいたし。お一つどうぞ〜。お金は要らないからね」
「ええ!?いいの!?バーガーのお姉さんとってもいい人だ〜!いっただきまーす!」
「おお、いい食べっぷりだなぁ」
「んー!!!んももももっ!」
「……もう一個食べる?」
「え!?食べるー!」
「…全部食べる?」
「食べる食べるぅうう!!」
「…スティーブン、私男に貢ぐ女の気持ちが初めて分かった気がする」
「えっ」
この後めちゃくちゃ問い詰められた。
【ギルベルトさん】
「す、スティーブーーン!!ギルベルトさんって知ってる!?クラウスの執事さんの!!」
「ああ、一応知ってるけど…彼がどうかしたのか?」
「あの人めっちゃ渋くてかっこ良い!!夕飯の買い出ししてたら偶然クラウスの車が通りかかって家まで送ってもらってその時紹介されたんだけど物腰が柔らかいしお茶目だしほんっと素敵な人だった〜!」
「へぇ…君が異性に対してそんなに興奮するなんてなぁ」
「だって渋くてかっこいいもん!あのお髭がたまんないなぁー」
「髭、ね…」
「あれ、番頭髭伸ばしてんすか?」
「ああ。気分でも変えようと思ってな」
「やだわむさっ苦しい!どういう心境の変化なのよ」
「(十中八九名前さん関係だろうなぁ…)」
「あれ、スティーブン髭伸ばしてんの?なんかむさ苦しいね」
「剃ってくる…」
【修羅場中】
「おーい生きてるかい名前」
「も…むり…しぬ…」
「こりゃ重症だな…修羅場ってやつはもう終わったのかい?」
「まだ…明日…」
「まぁまずは休まないとどうしようもないな。さっきバスタブにお湯を溜めておいたから入ってくると良い」
「でもまだ原稿がぁああ〜〜…」
「問答無用!早くしないとひん剥いて無理矢理ぶち込むぞ」
「ひぃいい〜〜鬼ぃいい」
▽ ▽ ▽
「はー気持ち良かったー…」
「食事できてるけど食べるかい?」
「わーい食べる!う…うまぁ…ほんっとスティーブンの作る料理美味しいわ…もう嫁に来いよ」
「んん、そんな男らしいプロポーズをされたのは初めてだな…」
「一家に一台欲しいなぁスティーブン。あーほんと美味しい…」
「後ろから失礼。髪乾かすよ」
「んー」
「髪伸びたなぁ。毛先が痛みかけてるしオイルでも塗っておくかい?」
「んー」
「君は一人だと髪もろくに乾かさないんだろ。風邪引くぞ〜」
「ん゛、」
「ああ、はい水」
「さんきゅー」
「どういたしまして」
「スティーブンさぁ」
「んー?」
「なんかすごい楽しそうだね。私の世話やくの楽しいの?」
「ははは、楽しいんだなぁ〜これが」
「ドМか」
【ゲンキン】
「いい加減過労で死ぬよスティーブン君」
「ははは、それは嫌だなぁ」
私の部屋でスティーブンと食事中に突然鳴り響いた携帯はいつもの”至急の仕事”を知らせるものだった。
普段から多忙である彼がプライベート中に呼び出される事はよくある事で、本人曰く「君と一緒に居る時くらいは電源を切っておきたいんだけどね」らしいがそうもいかないのが現実だ。
「ああ…行きたくないなぁ〜。折角美味いワインを持ってきたって言うのに…」
「まあワインは私が責任を持って飲んでおくから安心して。はいこれ、夕飯の残りね!タッパに詰めといたから!どうせ今夜も徹夜すんでしょ?」
「察しが良いね…。うん、でもこれがあれば乗り切れそうだ。ありがとう」
「あ…ちょっと待って」
玄関を出ようとするスティーブンを引き留めて腕を引く。
腕を伸ばして彼の緩んだネクタイをキュッと締め直し、少し乱れた髪を手櫛で整えた。
「よし、これで男前。仕事がんばってね」
ポンと肩を叩けば呆気にとられたように目を丸くしたスティーブンが「がんばる…」とマヌケな声を発する。
おいおい大丈夫かこいつ。
まぁ天下のスティーブン様だ、きっと徹夜だろうが何だろうが完璧に仕上げるだろうから心配しなくてもいいよね。
「番頭の机の上にあんのなんだ?あれ」
「タッパですよね…」
「夜食?」
「てか何時にもましてやる気満々じゃね?」
「今なら10徹も行けるとかぶつぶつ言ってたわね…」
「……あっ……(察し)」
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