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無駄な体力使っちゃうし、いつもはあんまり体育の授業が好きじゃない。
けど今日はそんな憂鬱なんてぶっ飛ぶほど楽しみで仕方なかったんだよね〜俺。
なんでかって?それは勿論今日の授業が男女共体育館で行われるからだよっ!
すなわち普段はあんまり見れない名前ちゃんの体育してる姿が見られるってわけだよ!


「フンヌフ〜ン♪」

「機嫌良いな及川」

「あ、マッキー!へへ〜ん、今日は女子と一緒だもんね!」

「あー、名前チャンね」

「ちょっと人の彼女の名前勝手に呼ぶな!!」

「へいへい。あ、名前チャン達バレーじゃん」

「マッキィイイ!!」


名前ちゃんを名前で呼んでいい男は俺だけだよ!とマッキーに怒りつつネットを挟んだ向こう側の女の子達に目を向ける。
ほんとだ…女子はバレーか。俺達もバスケじゃなくてバレーが良かったな〜。そうしたら名前ちゃんにかっこいい姿見せられたのに。まぁ今度練習見に来てくれるって言ってたし別に良いんだけどねっ!
それにしても体操服着てても名前ちゃんはひと際輝いてるなぁ…白い太ももが眩しい…。


「及川〜。パス練すっから集まれってさ〜」

「あ、うん。分かった」


出来る事ならずっと見てたいんだけどな…折角のまたとないチャンスなんだし。
幸い体育の先生は緩いから多少はサボってても怒られないし出来れば近くに行ってお喋りしたい…!!


「なー及川」

「ん?なにー?」

「及川と苗字さんって付き合ってんだよな?」

「…うん、そうだけど何?」

「いやぁ、なんで及川みたいなのが苗字みたいな奴選んだのかなって思って」

「……」


やる気無さ気に話しかけてくる隣のクラスの男の言葉にこめかみがピクピクと引き攣った。
…別に今更なんだけどさ。名前ちゃんと付き合い始めてから何度か言われた事もあるし。
こういう事言ってくる奴はたいてい仲良くもない奴だし、そもそも名前ちゃんの事をちゃんと知ってる人はこいつみたいな適当な事を言ったりしないから。
…だけどまぁ、好きな人を貶されるような言い方されて黙ってられるような人間じゃないんだよね、俺。


「ふーん…その質問ってさ、つまり強豪のバレー部の主将で顔も良くて人気もあるハイスペックな俺がなんで苗字さんたいな普通の子と付き合ってるのかって聞きたいんだよね。悪いけどお前みたいな上辺だけで人を見るような奴に苗字さんの魅力も俺がどうして彼女を選んだかも一生分かんないと思うよ。残念だったね」

「な……はっ?」

「及川ー試合すっからクラスごとに別れろってさ〜」

「はいはーい」

「……」

「お前バカだなー。何及川に喧嘩売ってんの」

「まぁお前苗字さんの事ちょっと気になるとか言ってたもんな〜。悔しいからって当たんなって」

「……うっせえ」


ピピーッとホイッスルが鳴ってバスケの試合が始まる。
俺とマッキーは怪我すると部活に支障が出るから授業での試合なんかはパスさせてもらえるからラッキーだよね。
さっきは嫌な気分にさせられたけどこれで名前ちゃんをじっくり観察できる。


「お、女子も試合か。愛しい名前ちゃんは…おお、ウィングスパイカーじゃん」

「その言い方マジでやめてマッキー。確か名前ちゃんってバレー苦手って言ってたんだよね…大丈夫かな…」

「あ〜ドジっ子っぽいしな」

「まぁそんな所もかわいいんだけどね」

「……相当だなお前…引くわ…」

「本気で引かないでよ〜……あ!名前ちゃんチャンスボール!」

「おお〜……って、スカってんじゃん…」

「…くっ…かわっ…!!かわいぃいいい…!!」

「……」

「っはぁあ!!ちょっとマッキー!今の録画してないの!?見たでしょあのスカし方!!おまけに失敗して呆けてるあの顔見てよ可愛すぎるじゃん!!惚れたら絶対に許さないよマッキー!!」

「……早く授業終わんねえかな…」



2015.1.20



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