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スカウォ発売決定記念2021 


「やっと、」


目の奥がカッと熱くなる。

唇は震え、眉根がきゅっと無意識によってしまった。あなたはわらう。なんて顔してるのと言いながら、貴方も大概顔がゆがんでいた。


「久しぶりだね、ななし」


そういって彼は私をぎゅっと強く抱きしめた。久しい感覚だ。一体何年振りなのかも思い出す暇がないほど感極まって涙を流した。しとどに彼の服を涙で濡らしてしまっても、彼は懐かしい声でまた優しく笑ってくれる。あぁ、ああ、本当に会えるだなんて!

まともに声も出せない私に、再会を祝う言葉もつむげない私に彼はつられそうになっているのか、少々涙声だ。


「ほんとう、会いたくてしょうがなかった」

「ごめ、」

「君は他の人と、旅に出るので忙しかったみたいだけど」

「っでもわすれたこと、ない。貴方にあいたかった・・・!会えなくなってリンクを忘れたことなんてない!」


しかし、けれど、その忘れられない記憶のせいで今まで辛かったのも事実だった。

やはり同じリンクで勇者といえども他の人とは違って、彼は彼であるから代わりなんていないのだ。それはリンクに限ったことではないけれど。ゼルダもそう。バドやインパさんだって同じ。

他のリンクを見るたびに「彼はこうだった」「今リンクがいてくれたら」なんて思うことばかりだったし、ほかのリンク達もそれぞれいい人で、勇敢で、世界を救うことに躊躇いを持たない人たちばかりだったけれどやっぱり違う。私には、彼だけだ。

わたしにとってのリンクは、彼ひとりなのだ。

リンクの緑の衣をめいいっぱい握りしめて、もう一度あいたかったと呟いた。


「またいっしょに、君と地上を走れるんだなぁ」

「がんばろうね」

「うん。いっしょに」

「むりしないで」

「君がいるのなら、むりしない」


君が居てくれるから、世界を救おうと思うんだ。


「どうしよう、嬉しい。っほんとにうれしくて、困ったなあ・・・」


ぽたぽたと、彼を見上げた私の頬にしずくが落ちてくる。彼のひと際深い青の瞳がゆらゆら揺れていて、しかしそれでいて安心しているかのように目を細めるものだから、私もつられて泣いてしまった。一度落ち着いた涙腺がまた崩れていく。

もう笑いたいのか泣きたいのか喜びたいのか、頭が混乱してしまっている。ただ一つ言えることといえば、彼の懐かしい顔を再び確認できた嬉しさは尋常ではないということくらいだった。

もうずっと離れたくない。こんな感動を伴う再会は、これっきりにしてほしいと思う。とてもうれしいのに、それが辛くてしょうがない。願わくばこのままずっと一緒に、いたい。


「めがとけちゃうね」

「それはやだなあ。ななしの目、好きなのに、なくなるのはやだ」

「泣かせるのが悪い」

「うん・・・ごめんね、ななし」

「つらかった!」

「ふふ、うん。君がつらかった分、これから一緒にいよう?僕と一緒にスカイロフトに帰ろう」


私を抱きしめたまま、ゆっくりと、あやすように左右に揺れるリンクに、私はしっかりと首を縦に振った。


「・・・・・・これからも、よろしくね。リンク」

「こちらこそ!」



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