『制裁の選択〜特異性』

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・『制裁の選択〜序章』の続き
・注意喚起でネタバレする悲しみ
・バダップが女体化するエロ展開
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―5日目―
バダップはベッドの上で空中ディスプレイを広げ熱心に画面を操作している。
俺には読めないけど、第三、第四の国の言葉が連なっているのはわかる。

「お加減はどう?何か食べたいものは?無理はしてない?」
寝たっきりの状態から回復した姿を見て聞きたい事が止まらない。

「そうだな…あえて言うならば、胸の痛みが強くなってきた所か…」
いつから、どんな痛み、我慢できない程なのか、発せられた言葉に血の気が引いてくる。
「腫れ上がる痛みというのかな…
 鎮痛剤のようなものを塗れないだろうか…」
言われた物を急いで用意し、バダップが寝巻きのボタンを外し終えるのを待つ。

そこで目に飛び込んできたのは、筋肉が落ちた男の胸ではない。
ほんの少しだけ部分的に膨らんだもの。太った男の脂肪とも違うもの。
例えるに一番近いのは小学校高学年女子くらいの成長しはじめた胸…
だから見てはいけない気がしてしまう。興味はあるけれど…

強く目を閉じてバダップに薬を渡す。
「目を背くべく醜い姿であったか…」
「いやいゃいやぃや!!見たいけどダメなんですって!!」
ジェル状の鎮痛剤を受け取るバダップに強く反論した。

「人は負傷して痛む場所に、無意識で手のひらを当てる。
 すると痛みが心なしか和らぐだろう?」
「気孔の効果ですかね」
「チーム王牙の救護担当でもあるキミにそれをお願いしようと思ったが…」
「へっ?! 俺? でも…」
「仕方ない、自分でやろう」
今起こっている目の前の一大事と、男の願望。
判断の処理が追いつかないままバダップは自分で塗り始めた。

遠慮と興味が闘ってチラリチラリと流し目で見てしまう。
小さいけれど何てやわらかそうなのだろう。

バダップに異性に対する目を向けていた事でもう1つの疑問に気付く。
「バダップ… その… …下の……  股の方は?」
何しろ人体実験だ、両方の性別を持つように作られた可能性もある。

「ない」
バダップは冷静に答えているのに、自分の顔は下手な想像で熱くなる。
「目覚めてから違和感はあったんだが…用を足す時に把握した」
そうか、着替えた時に背を向けたのはそういう事か… 
  …オレがまじまじ見てしまったせいもあるだろうけど…

何か言わなくては…。混乱気味な記憶の引き出しから情報を探し出す。
「そう!今日は奥様が一度こちらに戻られるとの御報告がありました!
 今なら着衣であれば見た目に大きな変化もそうない。
 安心をお届けする為にも、顔を出されてはいかがでしょう?」
「そうだな…」
バダップは自身の胸を見てひとつ間をおく。

「サンダユウ… キミが軍服を着る時に巻いているサラシ…
 あれを胸に巻いてくれないだろうか」

腹を斬られた時に内臓が飛び出す事を避けられるという事から
祖先の国で存在していたサラシ。これを巻くと気持ちも引き締まる。
そういう理由から王牙では俺だけが使用していたもの。
「わかりました。
 少しキツイだろうけど、苦しいようなら言って下さいね」

清潔なサラシを用意するとバダップはサラシが巻けるよう腕を上げて待つ。
正面から見るには視界の刺激が強い。背中側に回ってサラシを通す。
やさしく包むように巻き、胸囲が一蹴する時に強めに巻く。
すると普段自分で巻く感覚とは違うやわらかい感触をサラシごしに感じる。

その晩。無事に会食を済ませ、気持ちは幾分か落ち着いたはずなのに
手に残った間接的な胸の感触が消えず、脈動が下半身に集中する。
自身の性処理を手助けするには充分な刺激だった。


―6日目―
朝の検温。微熱はまだ残るもののバダップの顔は日に日に穏やかだ。
筋肉組織が落ちきって前よりも華奢に見えるけれど…。
ほっぺたはつついてみたい程やわらかそう。
昨日の感触を思い出し、胸に目をやる。ゆとりある寝巻きの
上からでも昨日以上の膨れ上がり方をした胸に目が留まる。
「ちょうどいい、少し窮屈だったのだ」
目線を悟られドキッとする。
「そ…そうですね、まだ汗もかいている。新しいサラシに替えましょう」

折り込んで留めていた箇所を緩めた瞬間、はじけるようにサラシが広がり落ちる。
昨日以上に大きくなっていた胸… 年相応の大きさであろう胸…
押さえつけられた胸が開放される勢いでやわらかそうに揺れた…
魅惑的な肉感に生唾を飲む。
「…サラシを締めなおすにはちょっと…ボリュームが増しましたね…」
「まだ誤魔化せるだろうか」
バダップは両手でぎゅっと胸を集めて押さえ込む。
押しつぶした胸を確認した後に手を離す。また揺れる魅惑の肉感。
「サンダユウ…?顔が赤いな」
「そりゃそうですよ!!」
俺の顔を見ながらも手は、たぷん たぷん と持て余すものに触れている。
「はじめて触れてみたが、人体というのは面白いものだな。
 こういう機会はそうない、キミも触れてみるといい」
真顔の発言に衝撃を受けるも、両手を握りこぶしにして堪える。

「い、いけません!!」 ―あぁ、俺は何で断っているのだろう…
「そういうものは…必要な時期に…この人だと心から想える人の前でですね…」
誘惑を堪え、頭を掻き毟り、自制を利かせるように伝える。

「…なら問題ない。その条件にキミが当てはまる」
耳を疑うその言葉に口がポカンと開く。
自分の発言を思い返し、改めて赤面をする。

「まさか…ねぇ、まだ熱があるとか? 身体の変化でヤケになったとか?!」
疑いの言葉にバダップが飽きれるように軽くため息をつく。
「だって!俺? バダップの周りにはバダップには及ばないにしろ
 優れた人間がたくさんいるし… 俺が叶う要素…?思い当たらんし…」

バダップはジッと俺の顔を見てつまらない言い分を最後まで聞く。
そして短い沈黙のあと深く息を吸い込み口を開く。

「身体の異変に気付いてから、この先起こりうるあらゆる限りの
 可能性と想定を頭の中でシミュレートした。
 その時、キミが最も適切な人物なのだと判断した。
 使用人として幼い頃からの長い実績と信頼、そういう事だけではない。
 一人の人間として…誰よりも心の安堵を覚えたし、その気持ちを裏切られた事もない」

ここまで言わせてしまった。自分の主に… 大切な人に…。
冥利に尽きる、そんなレベルでは済まない、見合う言葉も出ない。
使用人ではない「人」として…否、それ以上に心を開いてもらえたのだ。

「俺は…あなたに仕える者だから…
 バダップに対する特別な感情を心の奥に隠していたけど…
 そんなスゴイこと聞いたら…
 言葉になんなくて… 先に手が出ちゃうじゃん…」
敬語が崩れ、
押さえ込んでいた愛おしい感情が一気に押し寄せ強く抱きしめる。

「うん…キミが望むようにしてくれて構わない。
 たぶんオレもそれを望んでいる…」

―待て待て…バダップがいやらしい行為を望んでる?!

「…キミが望むことを、オレが応えたい。不思議な感情だ…」

そんな所だろう。けれど…許されたのだ。
「バダップ… 俺の本性が…気持ちを裏切る事になったらゴメンね…」

やわらかいほっぺたを撫でながら伝え、頬に口付けをした。
目を合わせ、拒まれていない事を感じると唇を重ねる。
互いの額をくっつけ合い初めてのキスをした事にはにかむ。
いいんだ…
   しても…
この角度で視覚に入りこむのは、自分の硬い胸にやわらかく押し当たる胸。
許されているのだ。そっと手で包み込み、やさしくぎゅっとしてみる。
クラクラしそうな心地良いやわらかさ。
掌に包み込みながら指先で先端をいじると応えるように存在が形を成す。
もう手だけでは気が済まない。
胸に魅了された夢中な右手はそのままに、左腕はバダップを深く抱え込み
体重を乗せてバダップの身を押し倒した。

重力で膨らみの減った胸を掬い上げて口にする。
右の胸と左の胸。首筋から唇。そしてまた胸へ。
同じ経路を何度も繰り返し、しつこかったのだろうか。
バダップがクスッと笑う。
「そんなに吸い付いても母乳までは出ないと思うぞ」
「ちがっ…!
 あのね、人類が生まれて一番最初に欲しがるもの。
 触れて吸い付きたいのが本能だから仕方ないんだって…」

半馬乗り状態の俺を追ってくるようにバダップも身体を起こす。
「オレもキミにお返しをする」
既に硬く膨張していた雄の欲望を、服の上から撫でられる。

「キミも窮屈なものを開放しよう」
「ちょ、ちょっとまって…!? 確認カクニン…!」
触れる手と、止める手が重なる。

「俺は胸に触れるだけで充分だったし、これ以上の行為は…
 わずかな理性までフッ飛んでバダップを傷つけるだけかもしれない」

「返って都合がいい。キミはやさしいから凶暴性はないだろうが…
 理性の奥に眠る本能のキミを知りたいし、身体で感じたい…」

本気だ…。服も理性も脱ぎ捨ててバダップと向かい合っていいのだ…。
「じゃあどうなっても… 責任取るけどさ…
 俺、全身全霊…ホントに全身を使って愛するから…」

絡めあう不慣れな深いキスをしながら互いの着衣をはぎとっていく。
最後に残されたバダップの男性用下着をずりおろしてゆく興奮。
あらわになった紛れもなく女性器と化した陰部の割れ目…。
全身が女性の身体になった全裸のバダップに見惚れていると、
ピクリとした硬い雄の先端から潤滑の汁がこぼれる。
その瞬間バダップの手に包み込まれ、汁ごと口に含まれた。
かつてない最高の感触。
人に触られた事もなければ、口内の生暖かい滑りなどは知る由もない。
デススピアーの習得に必要な柔軟性を使えば、自慰で不可能ではないけれど…

そういえばバダップは性の処理はどうしていたのだろう。
今してくれているリズムでしごいていたのだろうか。
この人はとにかく天才だ。だからこの行為に時間をかけず
処理できる手の動きを知っているのかもしれない。
何よりも今俺は愛しい人にされている…当然達するのは早い。
「イく…、出る、離れて…!」
「大丈夫」
それだけ伝えて口に咥えなおされ、刺激を受けながら口内で果てた。

ティッシュを用意する間にバダップは吐き出さずに雄の汁を飲む。
抱き寄せられると深いキスをされた。
口内に残る己の味が鼻を通り何ともいえない後味になるが、
果ててとろけきる開放感で満ちる事が出来た―。


欲望の液を排出して満ち足りていても、まだ興味が残るものがある。
もう1度あのやわらかい乳房の感触を…
ヘソから…その下の薄っすらとした繁みとその奥の存在を…
指をすべりこませ、繁みの周辺のあらゆる溝に進入し状態を確認する。
表情も気になって目を合わせるたびキスも欠かせない。

バダップの太股を大胆に広げ、隠されていたもう1つの唇にもキスをする。
大股を開いたバダップの腰を持ち上げ、俺自身の太股の上に乗せると
バダップのお尻の割れ目に陰茎が挟まるように当たる。
果てていたはずのものが、もう硬く起き上がっている事にバダップも気付いたろう。
軽く腰を動かし、こすり合わせたり、全身を絡ませて愛しい人を愛撫する。
たぶん俺はしつこい。充分な愛撫をしているといえよう。

対して性欲という動物の本能から程遠いバダップの方はどうだ。
…濡れるという予備知識はある。けれど無理がある程度にしか濡れない。
身体の方がまだ俺を受け入れる気じゃない。まだ…?それはいつまで…?
俺自身から溢れる潤滑液だけでは足りないし、ローションなどという物もない。

1本の指が少しづつ入っていった時は感動を覚えた。この場所、この角度なのだと。
しかし2本目がどうにもキツイ。強引に膣を広げてしまっていいのだろうか。
…挿れたい。
指が挿ったところで満足できない。興奮した雄の欲が涎を垂らして挿りたがっている。

苦戦という焦らしに賢いバダップは察したのか体位を替えて俺の上に馬乗りになる。
大胆に大股を開き、俺の欲望を持って自身で挿れようとするのだが、上手くいかないようだ。
亀頭で味わうバダップの入口。
大事な所に入り込みたいけれど、この姿も見ていてとても可愛い…。
「キミだけでもイッて」
視姦されている事に気付いたのか、バダップは褐色の頬を赤らめて言うと、
行為を別のものに変えてきた。これは噂に聞く素股…
互いの性器をこすり合わせる粘液まじりの刺激で、また俺だけが果てた。

挿入だけじゃない。愛する人をイかせられなかった事は男として最大の悔やみ。
しかし消化不良とはいえ、充分な行為が出来た事にかわりはない。

俺の為に身体を使って奉仕してくれた大切な人を抱きしめながら
同じベッドで眠りについた。
愛する人によって2度も果てられたのだ。
看病していた時には得られなかった最高に気持ちの良い深い眠りだった。


―7日目―
「よく眠れたようで安心した」
先にバダップが目を覚ましていた。同じベッドで隣に寝たままで…。
シーツをかけているが肩口から見える裸の状態と胸の膨らみの上部。
人体実験の性転換が夢であって欲しかったような…
愛し合った行為が夢でなくて嬉しいような…
この日はピロートークで朝を迎える贅沢から始まった。

「今日で1週間、上官より伝えられた期日だ。午後にでも学園に行く」
「!…その格好で…って事だよね…」
「薬の効果は3種類用意されていて、そのうちの1つを投与された。
 戦力は落ちるが、それに代わる別の役割がそれぞれにあるからだ。
 1つは女のこの姿。
 2つ目は十年細胞を進め、年齢による能力の壁を試す事。
 3つ目は十年細胞を戻し、幼い姿で油断させる冗句じみた戦略。」
「例え残り2つに変異しても俺はずっとバダップにつかせていただきたい!」
「ふふ…ありがとう。
 そして女の身体になる事の真の目的。キミにも察しがつくだろう」
「…昨夜した行為……」
「性は武器にもなる。恐らくその確率は高い。
 だから最初にキミに時間をかけてやさしく弄られた事は間違いではなかった」
自分がした行為を言葉に出されて顔が熱くなる。
「でも結局…、閉ざした状態で乱暴にされたらどんなに痛く、傷つくか…」
「それなんだがサンダユウ…」
バダップが身体を起こすと掛けていたシーツが落ち上半身があらわになる。
驚く事に昨日より胸がたわわに実って、巨乳と呼べる大きさにまで成長していた。
ウエストも括れてお尻の色気も増している。
昨日の年相応の状態で安定したわけではないのか。

「大変…ご立派ですね…」
自分も身体を起こし、生唾を飲んで答えた。

「サンダユウ…昨日はキミを拒んでいた箇所が…今朝になってキミを欲してる。
 出発前にもう一度…続きは可能だろうか…」
何度目の驚き、何度目の耳を疑う言葉だろう…

「バダップは散々な状態なのに…俺にとっては好条件ばかりじゃないか…」
「可能なのか?」
「当然…朝飯前。…ゴメンね、願ってもないこの話を断る理由がない…」

対面で座ったまま抱き寄せると開始の合図のようにキスをする。
2人の間でクッションになっていた大きな乳房は、
手のひらからあふれるくらいの成長をしている。
両手の5本の指が満足するまで揉みしだいたあと口で吸いつき先端を舌で転がす。
乳房の心地良さを奪われたもう片方の指は、次の満足を求め
昨夜閉ざされていた入口に忍び込んでソッと触れてみる。
バダップのヒクリとした動きと潤い。
半分の力で起き上がっていた欲望が、居場所を見つけた事で力強くヘソの方までそそり勃つ。

喰らい尽きたい。その想いでバダップを押し倒し、股の間に顔をうずめる。
もう1つの唇に激しいキスをするようにしゃぶりつく。
舌で責めるだけでヒクヒクして溢れる蜜。
一晩でなんていやらしい身体になってしまったのだろう。
昨日よりも膣が開いて、3本目の指までも受け入れてくれる。
もう本番の選択肢しかないし、ギンギンと脈打つ剣を鞘に収めたいのが本音。

真上を向く陰茎をつかみ先端で入口周辺をなぞって、指より太く丸みのある刺激を与える。
押し込むに充分な状態を感じながらも、太い存在を挿れずに焦らして撫でる。
「太い方…ほしい…?
 俺、標準より背丈も顔もコレも長いと思うけど…」
もう挿入する気しかないのに意地悪に下劣な言葉で聞いてみた。
バダップは口元を押さえてコクンとする。
箍が外れるに充分な可愛さによって雄のスイッチが入る。

我慢汁がダクダクに溢れた先端を入口に当てて腰で押し込める。
あたたかいヌメりを帯びた膣に飲み込まれる肉圧でどうにかなりそうだった。
ゆっくりやさしく少しずつ腰を前後させ、膣のキツさが緩まると大きく抜き差しする。
互いから溢れる液の摩擦音がいやらしい音を立てて、より興奮させる。
しだいにバダップの腰が浮き、最奥まで侵入する事を許された。
荒い呼吸で腰の速度を上げ、ぐちゅぐちゅとした交わりを繰り返すうちに
奥が広がり、俺の標準より長いであろう陰茎を根元まで飲み込んだ。
最奥まで入り込む事で繁みや陰嚢までも愛しい人に密着する。

抜ける寸前までの大きな抜き差し、小刻みな速度、角度に変化を加えた刺激。
奥まで入れては中をかき回すように腰が回転する。
よがったバダップから喘ぎの吐息が漏れるものだから、腰が動物のように暴れてしまう。
理性あるやさしいセックスは消え、獣の本能丸出しな激しいセックスが続くと
いよいよ果てる信号が送られる。
バダップからも呼吸と締め付ける頻度でその時を感じる。
「俺…もう…やばい」
「ンッ…抜かないで…、中に…出してく、ン…れてかまわな…ッ」
あのバダップとは思えない淫乱な声に、絶頂の状態である事を知り満足する…が…
「でもそ…れマズイ…」
互いを繋げた最高に気持ちの良い時間が止まらぬよう腰を止めずに話を続ける。
「避妊薬…ン…飲んでる……媚薬入りの…ッ」
それでみだらな身体だったのか…。
納得した。バダップを信じよう。

俺が抱いているバダップ、そのバダップは俺の欲望を中で包み込んでいる。
抱いて抱かれて…、その中で果てるのだ…、できるなら同時にイきたい…。
繋がった者同士がグチョグチョに溶け合った絶頂状態の中、
堪えて腰を激しく振り続けバダップの中の痙攣を待つ。
「ん……もッ…アッ…ッ……」
ぶるぶるとした膣の動きに刺激され中にビュクッビュクンと放出した。
同時に果てる事が出来た最上級の瞬間。
生涯もこの人と共に果てたい。その決意が固くなる。

繋がったまま幸せな余韻に浸っていたのはどのくらいの時間であろうか。
力をなくした雄を抜くと血液交じりの液がドクドクと出てくる。
昨夜2度も出したのに濃度は薄いにしろ結構出るものだ。
二人の淫らな液がついたシーツで少し体力が回復するのを待った。


支度中のバダップの動きが少しぎこちなく歩きにくそうだ。
「ハァ…すまない…俺も所詮ケダモノの男だった…」
「キミはわかってるようでわかっていないのだな」
大きな瞳に俺が映り込み、吸い込まれるような視線で言われる。
「キミがオレに残した初めての痛み。…ジンジンと伝わる事で
 キミの存在を感じられるし、離れていても共に在る事が心強い…」
聞いてて申し訳ない話に耳を傾ける。
「キミとの性経験は… 目を閉じる事でキミとの行為を思い出せる」
…それはつまり、セックス中に違う男の事を考えるってやつだろうか…
…制裁という名の上官との行為中に…

「バダップを疵物にした俺には何とも返しがたいんだけども…
 念のため…行く前に避妊薬はもう1回飲んで用心しておいて下さい。
 …できれば媚薬入りじゃなくって潤うだけで痛みが軽減されるようなやつ…」

俺以外の男に淫らにされている姿を想像をしてしまい、後ろめたさから
目をそらして敬語まじりに言うも、もう一度バダップを見ると目が合う。
するとバダップも目をそらす。
「薬は使い分ける…あんな淫らな姿はキミ以外には見せたくないからな」
奪われそうだった独占欲が満たされるその言葉。

「けど万一… もしもこのまま身体が元に戻らなかったら…」
俺のやるべき使命に覚悟を持ってして聞く。

「両親にも信頼を得ているキミをスリード家の婿さんに…」
ヘッ…?!
「いや…サンダユウのお嫁さん…そっちの方が一番幸せになれそうだな」
最後にまた予想外の言葉が飛び出すとは思わなかった。
俺はバダップの事を知ってるようで全然知らない愚か者なのか。

あふれる感情が言葉にならなくて、身体を強く抱きしめるしかなかった。
しかし男なら愛する人にだけ言わせて終わるなんて情けない…

「そ、そそ、その時は一生を掛けてバダップを幸せにし…ま…す…」
正直な気持ちを伝えるだけなのに不器用なプロポーズになってしまった。

愛しさから頭を撫でると癖のついた逆毛がふわふわと頬を掠めて心地良い。
「…けども…ダメダメ」
堪えて抱擁を緩めて言葉を続ける。
「ご家族の為にも…元に戻れるよう出来る限りを尽くしますから!」
目の前の可愛い嫁さん候補に、性のスイッチがまた入らぬよう
前髪をかき上げ王牙の紋章が消えた額に軽いキスをしてこの時間を終える。

背伸びをしたバダップから頬にキスを返されると跳ねるような後退りをして
身体から離れた。不器用な獣が意図すること、理解してくれたのだろう。

普段どおりの空気に切り替わったところでバダップを送り出す。
あの身体ではまだ寮生活は無理だろう。屋敷に残って待機する。


バダップが上官に許しを得て、無事に男の身体に戻れたら…。
恋人同志のような時間は性別の壁に阻まれ終わりになるのだろうか…。
大人の対応としてあんな事を言ってしまったものの、
俺はどちらのバダップにも特別な感情を抱いているから寂しい想いはある。

互いの液が付着したシーツを洗濯する為、ベッドからはぎとって抱え込むと
激しく繋がった最高の時間を思い出す。
当面…いや一生のオカズが出来たのだ、俺にしては上出来か…。

「バダップ…早く帰ってきてくれ…」




-----あとがき-----

結果を濁してエンドです。既に充分蛇足を付け加えすぎでもありましたが、その先を描いたらまた別の話になっちゃうので一応ココで一区切りです。

はい、ヤッちまいましたよ女体化モノ。少年バダップが最も崇高なのに…。キャラ崩壊が更に加速するので、出来れば1度っきりにしたいと思い女体でしかやれない男女モノのエロを思う存分ガッツリ書いてみた結果がコレです。

どうせニョタるなら、性格の女子力も上げたバダップ(痛みで涙が出るとか、言葉遣いが意に反して変わるとか)など色んなサンバダを楽しみたい所もあったけど、初回だし極力キャラ崩壊を抑え目にする努力でありました。

サンダユウ視点だとバダップのセリフが増えてよくしゃべる子になってしまうけど、映画終盤もゲームも漫画版もよくしゃべってたから、あんなモードという事で。

それにしても約1万文字。原稿用紙換算で23枚分。ここまで長くなってしまったのは、男女モノのエロ…この要素に尽きますね。逆にホモセックスでは今回を超えるエロ具合は書けないんじゃないかという恐れ…。

状態異変を表現する1〜5日目までは短く終わったのに対し、6日目のおせっくすに至るまでの流れと、致す行為は、結構長く。7日目のドエロい本番も長く。シメと蛇足で更に長く。書きたい事を削らずに好き放題やらせていただける趣味の世界に完全に甘えておりますね。

そしてズルズルと、その後の続きのオマケ話を書いてみたい欲はあります。もう1つの未来という奴。オーガは円堂守時代のパラレルでもあるから、色んな未来があってもイイヨね!(開き直り〆)

[2014/4/24]

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