『制裁の選択〜序章』

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・サンダユウ視点+健全範囲
・任務失敗でおしおき制裁だよ
・エイプリルフールの制裁だよ
・自宅謹慎(執事設定くるよ)
・未完掲載から続きを加えたよ
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オペレーションサンダーブレイクならびにチームオーガの事は
王牙学園では隠された存在であり、ミッションを失敗した翌日も
いつもどおり士官学校の生徒として過ごしていた。
ただ1人隊長のバダップを除いて―。

その事に気付いたその日は寮に向かわず、バダップの実家スリード家に帰った。
使用人としての仕事を果たす為。家の事情という事で特別に帰省を許されたのだ。

許可が下りた理由はその後わかる事となる。
制裁がいかなるものなのか…隊長のバダップが見せしめとなったのだ。

「サンダユウ、戻ってたのか」
俺がスリード家でお仕えしているバダップの部屋。中に通された。

自ら用意した締まりある身なりで、空中ディスプレイを広げ
調べ物でもしていたのだろうか。閉じられてゆくデータの残骸が見えた。

この部屋にはバダップしかいない。
自宅謹慎という処分に隠された理由があるのではないかと伺った。

「いずれわかる事だ…キミには事態が起こる前に伝えよう」

何もない… そう返ってくる事を望んでいたのに、望めない雲行きである。

「上官の命(めい)により、オレはある人体実験を受けている」

元々小さい俺の瞳が更に小さくなったであろうか。
バダップの言葉をさえぎらぬ様、息を呑んで話を聞いた。

「もうじきオレの身体に何らかの異変が起こるらしい。
 まだ試験的段階であり実装前のものだ、
 成功による異変か、失敗による異変かもわからない。」

心拍を感じさせないバダップの呼吸がいつもと違って荒く深い。

「少し前から身体中のあちこちが軋み熱を持ち始めてね…」
「ちょっ、失礼!」
白の手袋を外しバダップの紋章が消えた額に手を触れる。
「熱い…」
額もふわふわとした前髪の内側も少ししっとりしている。

「症状はこれから更に酷くなるかもしれない。
 死に至るものではないが、特異症状が出るまで
 3日から1週間を要するとも言っていた。
 その期間、キミに迷惑をかける事になるだろうけど… 
 オレが信頼できるキミの判断なら間違いは起こさない…
 だから…もう安心して少し横にならせてもらおうかな…」

気丈にしてても辛そうな声…。限界を耐えていたのだろう。
屈み姿勢でバダップに肩を貸し、ベッドまで連れていく。
汗を拭いて楽な寝巻きに着替えさせる。
身体に熱を持っているだけで見た目には異常が見当たらない。
バダップを寝かせ、眠りの呼吸を確認するまで傍につく。
30分毎に記録している体温は上昇を続ける。

多忙の身であるスリード家の主人と奥様が家を数日空ける事は
珍しくない。戻るまでは報告をせず、バダップの様子を見ていよう。


―その日の夜―
バダップの熱は高熱となり、寝息とは程遠い辛そうな呼吸をしている。
朝までに熱は下がるだろうか。
なにしろ人体実験。普通の医者で通るものではないし、
こういう時は軍に属する闇医者という奴に相談するのであろうか。
いや…
俺を信じてくれたバダップが言った事を信じなくてどうする。
見ている事しか出来ない事が辛い? バダップ本人が一番辛いのだ。
伝えられた期間は、苦痛と戦うバダップの傍に就く事が最善。
そしてスリード家の人々には余計な心配をかけぬよう、
上手く立ち回る。バダップが落ち着くまではそれでいい。


―2日目―
熱は40℃を越え、上がる事も下がる事もなく1日が過ぎようとする。
高熱を保ったまま、繰り返す荒い呼吸…。
これを耳にしながらオレはバダップの前で寝オチてしまう。
バダップの容体に変化がない以上うたた寝はまだ許されるかもしれない。
…だが…
赤ら顔で汗をかき荒い呼吸を続ける愛しい人を見続けているうちに、
淫らな姿を想像してしまったのはいかがなものだろう…。
眠気覚ましと、自身に溜まっていたものを抜きにシャワーを浴びてくる。


―3日目―
長い眠りの中でバダップは少しずつ穏やかな寝息を取り戻している。
峠を越えたのだろう。安心感から強い眠気に襲われる。
バダップの目が覚めた時にも俺が行動できなければならない。
ベッドの横に移動させていたソファに横たわり仮眠を取った。


―4日目―
肌寒くなる明け方の時間、ずり落ちかけていた毛布を
心地よい位置まで運んでくれるあたたかい存在……
「バダップ!?!」
勢い良く飛び起きバダップに訪ねる。
「いつからお目覚めに…?!」
「ほんの少し前。トイレに行った程度のわずかな時間だ」
目の前の自分のベッドに腰をかけて答えてくれた。

「そうだバダップ、着替えましょう。汗をかいてますからね」
用意していた着替えを横に置くと、バダップは胸のボタンを外してゆく。
汗を拭くための温かく湿らせたタオルに俺の手汗が交じる。

3日間も寝ていたからだろうか。
引き締まっていた顔も身体も筋肉が落ち
普段の姿より弱々しく見える。
病み上がりの身体というのはそういうものなのだろうか。

身体をまじまじと見てしまったせいだろうか。
以前は特に隠しもせず堂々としていたバダップであったが
この時は背を向けて寝巻きの下を脱ぎ替えた。

「もう少し寝る」
あのバダップが2度寝をするなんて。状態はまだ良くないのだろう。
水分補給をさせ眠りにつくまで側で見守る。

長く意識を落とす眠りはもうなく、この日3度ほど目を覚まし
粥を口にするくらいまでには回復した。
バダップへの変異。それは実験の失敗で免れたのだろうか…。
それともこれから起こりうるのか…。


 + + +


続きは【コチラ】になります。
どんな展開でも大丈夫な耐性持ちの方は上記からお進み下さい。

苦手属性がある方は、先にネタバレをご説明しますので
ご判断にお任せいたします。→ [※性別的な事です]


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