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二度目のチャペル。
初めて交わした誓いを塗り替えるように進む時間は些か速い。ユノの足は自然と重くなる。相反してバージンロードを歩くユノの姿は華やかで柔らかい。どんな女性であっても彼女に挑むことはないだろう、その美しさに人々の感嘆が漏れた。

ベールの下に隠されたのは、だれも気付かない心とだれにも気付かせてはいけない心。ぎゅっと握りしめたブーケから淡い花弁が一度だけ、ぽつりと所在なく地に落ちた。

上げられたベール、今目の前にいるのは未来を共に生きると誓う人。その人はいつものように快活に笑って。ユノにだけ聞こえる声で言った。


「笑え、ユノ。…ここにいるだれよりも幸せだって顔してさ」
「ピオニー…?」


自分がジェイドにそうしたように。その手のひらは暖かく指先は涙の雫をすっと拭った。同時に

誓いの、キスが落ちる。

それは酷く優しいもので壊れないようにそっと、触れるだけで終わった。…ピオニーは全てわかっていたんだ。

気付いて。頬が薔薇色に染まり上がる。初恋に似た、突発的な感情。愛しいと思ってしまうのは。間違いなのか、正解なのか。

唇をきゅっと結んで目を瞑った。開かれたと同時に、満面の笑みを創ってピオニーにそっと告げる言葉があった。


「幸せだよ、ありがとうピオニー」


ただ、ユノはその曖昧な現実に揺らめいた。ジェイドとピオニーの間をずっと揺らめいていた。







ただ一つ

耳に響いた声が、そこにあった。







愛しています


貴方が生涯で一度だけ紡いだ言葉なら

私も貴方だけに
その言葉を捧げよう





E N D

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