「笹川君の何処が悪いの!? 持田より全然良い男じゃない!」
    「おーおー、認めたな! でもな、お前は分かってない。俺の方が遥かに良い男だ。お前のそれは、恋は盲目ってやつだな」
    「何言ってるの? 笹川君が駄目だったら、あんた何か駄目以下。ゴミだよ、ゴミ。盲目なのは持田じゃん。このナルシスト! 鏡を見てよ!」
    「良い男が映っている」
    「視力無いんじゃない? このゴミ」
    「お前笹川が馬鹿にされたからって怒りすぎだろう! あと俺はゴミじゃない!」
    「ゴミだよ。ゴミゴミ。黒川さんとかが持田を見る時のあの目を見た事ないの?あの哀れみに近い、ゴミ虫を見るような目を」
    「お、思い出すから、やめろよ! 黒川は関係ないだろ!」
    「あれが世間の目なんだよ、自覚持ちなよ」
    「京子は俺に笑顔を向けてる」
    「京子ちゃんは天使なだけ。天使とゴミは付き合えません」
    「お前京子が可愛いからって僻むなよ」
    「…………僻んで悪い?」
    「え?」
    「京子ちゃんは可愛いし天使だけど、持田みたいな馬鹿の相手なんかしてあげる人間の女子なんか世界で私しかいないんだから!! 持田の馬鹿!!」
    「え……ごふあっ!!」

     傍にあったオルゴールで思いきり持田の頭を叩き付ける。持田がその場によろけた。

    「持田の馬鹿! ハゲ! 入れ歯! ハゲ! ヅラ! 入れ歯! 持田なんか嫌いだあああ!」
    「さ、沢田! 言い過ぎだ! 沢田ああああ」

     私はそのまま持田を置いて逃亡した。






    「沢田」

     目の前には眉間に皺を寄せている笹川君。

    「すいません」

     私はソファの上に正座をして項垂れる。

    「お前、持田に何を言ったのだ」
    「すいません」
    「持田に俺が鈍いせいで沢田に殴られたと怒鳴られたぞ」
    「本当すいません」

     私が土下座をすると、笹川君は肩を掴み私を燃えるような目で睨み付けてきた。

    「ええい! 極限にまどろっこしいぞ! 沢田! 今すぐ持田に告白してこい!!」
    「ひいいいい! すいません、すいません! それだけは勘弁してください! あの馬鹿に告白とか死んだ方がマシです!」
    「だったらお前は何故あいつが好きなのだ!」
    「私だって分かんないよ! 出来れば持田の言う通り笹川君を好きになりたいよ!」
    「この状況でそれを言うのか! 俺に喧嘩を売っていると思って良いんだな!?」
    「すいませんすいません」

     私が必死に土下座をしていると、横から聞こえていたペンを走らせる音がやんだ。
     気が付けば机に向かっていた雲雀君が、こちらを睨み付けて来ている。

    「君達いい加減にしてくれない。ここを何処だと思ってるわけ」
    「極限に応接室だな!」
    「分かってるなら出ていってよ」
    「でもここだと、怖がって持田は入って来ないし……」

     私が言うと雲雀君は短く息をついた。

    「……分かったよ」
    「ありがとう、雲雀君」
    「草壁」
    「はい」

     雲雀君に呼ばれて草壁君が応接室に入ってくる。

    「今すぐ沢田ソラを連れて行って剣道部主将に告白させてきて」
    「わ、かりました。委員長がおっしゃるなら……」
    「おお! 実力行使という訳か! 名案だな!! 行くぞ、沢田!!」
    「ちょ、あ、ええええええ!?」
    「すまんが、いい加減覚悟を決めてくれ、沢田。一年以上付き合っている俺達の見にもなれ」
    「草壁君の裏切り者〜!!」


    こうして、私は笹川君と草壁君に引き摺られ、応接室を後にするのであった。


    強制終了。

    (2011.7.6)
    (多分その後、一度振られて、大学生くらいまでうだうだしたのち、なし崩し的に二人はくっつくと思われる。何だかんだで持田はソラさんを好きなんですが、なかなか煮え切らない態度で、そんな二人がくっつくまでイライラしつつ面倒を見る笹川君。そして強制的に巻き込まれる雲雀君と草壁君(持田が怖がって寄ってこない為相談する時は応接室か雲雀宅)という図がたまらんと思うのは私だけですか、そうですか)
    超絶長い持田君とのその後、まとまりのない妄想文(日記に飛びます)

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