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十人十色の告白模様(ムカ→スコ) [ 136/196 ]
※百足さんが入社っていうか入館した日
※捏造しまくり
今度入ってくる男がイケメンなのだと、どこか浮ついた様子の女性陣(といっても自分は2人しか知らない)を横目に、スコルプはいったいどんなヤツが入ってくるのだろうと思った。
あのアナコンディやシビレッタが気を良くするような男だ。やはりイケメンという部類に入るのだろう。まあ、どんな男が入ってこようと自分の仕事が変わるわけでもないのだが。
と、スコルプのいる部屋のドアが開いた。
アナコンディでもやってきたのかと視線を上げると、そこには長髪の美形が立っていた。……なるほど、たしかにイケメンかもしれない。
しかしこの博物館には少々珍しいタイプだ。ホストにでもなれば高額な給料が貰えるだろうに。
「……なんだ」
「ああ、すみません」
男は苦笑してみせた。
「道に迷ってしまいました」
聞けば、館長に呼ばれて、用事が終わったはいいものの、出口がわからなくなってしまったのだそうだ。
たしかにここは少々複雑だ。出口を教えようにも口で説明するのはなかなか面倒である。だから、スコルプは立ち上がった。
「……?」
「ついてこい。こっちだ」
男は少々戸惑っていたが、すぐにスコルプの後に続く。
「ありがとうございます」
「…………」
「あの、お名前は?僕はムカーディアと言います」
そうか、そういえばそんな名前をアナコンディが言ってたな。
「スコルプだ」
「スコルプ、さん」
不意に、ムカーディアの足音が止む。
立ち止まったのだろう。不審に思って振り返ると真っ直ぐな視線がスコルプの目元に注がれる。
いたたまれなくなって視線をそらすと、ムカーディアの長い髪が目に入る。男のくせに、とは何故か思わなかった。
それよりサラサラした髪に触れたら気持ち良さそうだなんて考える。
「スコルプさん」
「何だ」
「スコルプさん」
「だから、」
何だ、と続けようとしてムカーディアの声に遮られた。
「好きです。答えは要りません。あなたに拒否権なんてありませんから」
「…………え」
何だ、それは。
何だ、今のは。聞き間違いか。
「好きです。好きになりました」
聞こえない。何も。何も聞こえない。
「だから、あなたにも僕を好きになってもらいます」
何も聞こえない。
何も、聞きたくない。
「……じゃあ、また明日」
道に迷ったと言っていた男はいつの間にかスコルプの前から姿を消し、後にはただ、現実を受け入れることができないスコルプが残されていた。
(そうか、からかわれたのか)
(そうに違いない。だって、そうだろ)
「あ、冗談とかじゃありませんよ」
(どこから入ってきた!!!)
‐END‐
初めてのムカスコは、やはり出会いでした。
捏造バッチコイ(殴)
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