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未知との遭遇(フロクラ)
2011/06/02 22:18

幼馴染みの付き合いが悪くなった、と思う。
彼女でもできたのではないかと睨んでいる。まあ、元々それほど付き合いのいい男ではなかった。表面上はいつもニコニコしている癖に頭の中では何を考えているのかよくわからない男だ。クラウは無駄に長い付き合いから多少は読みとれるけれど。むしろ読みとれるからこそ何を考えているかわからない、という結論に達したのだけれど。

まあ、それはどうでもいいのだ。
問題はそれではなく。ルークの付き合いが悪くなってから感じるようになった「違和感」の正体がわからない、ということだった。





授業が終わり、欠伸交じりに帰り支度をしていると珍しく幼馴染みが声をかけてきた。
珍しいなと言ってやると彼は苦笑しながら口を開く。

「彼女が出来た」
「……何で俺に報告するのかわからん」
「なんとなく。自慢したくなりまして」

なるほどルークの顔は幸せいっぱいとでも言いたげで。純粋に自慢するつもりだったのだろう。あとは気まぐれな報告か。
相手は、と聞きかけてルークの視線の先を見る。眠り続ける女子生徒が一人。
「ま、お幸せに」
少し呆れながらも言ってやるとルークが少しだけ、悪戯っぽく笑ったように見えた。
気のせいだろうか……。


そうしてすぐにルークと別れて一人で下校を始めたのだが。
やはり違和感が拭えない。
視線を感じるような気がするのだ。
「……誰だ」
小さく呟いてみるが、返事はない。当たり前だろう。それからすぐに振り返ってみる。やはり誰もいない。
しかし視線だけは感じる。
最近ずっとだ。教室で授業を受けていても、こうして下校している間も。どこかから絶えず視線を向けられている気がする。
以前喧嘩を売ってきた上級生を返り討ちにしたことならあるが、特に同級生といざこざを起こした記憶もない。しかし教室内でも視線を感じるからにはクラスメイトが犯人だろう。
誰が、何の目的でこうしているのか。わからなくて苛々する。
そのうち犯人も目的もわかるだろう。ため息を吐くと、クラウはまた歩き出した。

それを待ってから黒い影が動き出したのには、気が付かなかった。





家に帰ると進展があった。
進展と言うか、事態の悪化というか。目的がうっすらとわかるような進展でもあった。

『○月○日
 彼は今日も一人で帰宅するつもりだったらしい。
 今日も一緒に帰ることにする。彼は時折こちらを振り返り、私が着いてきているか確認しているようだった。
 彼はやはり可愛い』

郵便受けに入れられたファンシーなノートの1ページ目に、そんなことが書かれていた。
彼、というのが自分であろうことは、自意識過剰などではなく嫌でも理解できた。非常に残念なことに。

気味の悪い日記の最初には『ミラン・フロワード』と書かれていた。
その名前を見て「ああアイツ前に根暗君って言ったの根に持ってるのか」なんて思ってみた。思ってみた後に次のページに『クラウ・クロム』と書かれているのが目に入る。
根暗君はどうやらそこに日記を書けとでも言っているようだった。


(で、どうしようかこのノート)





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