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この選択に後悔はない(伝勇伝・リーライ)
2012/07/05 21:07
「私は、貴方が考えているような綺麗な人間ではありません」
そう告げる髪はやはり綺麗な水色で。たったそれだけのことで、ライナはリーレの言葉が嘘だと思った。
綺麗なってなんなんだろう。汚いってなんなんだろう。考えてみたけれどよくわからない。
リーレ・リンクルは美形だった。水色の髪はサラサラしていて動くたびに美しさが際立つ。顔立ちも整っていて、表情はあまり変わらず、人形のそれに近い。
儚げ、というには彼の強さを知りすぎていた。そうでなければ、何だろう。綺麗というありきたりな言葉でしか彼を表せそうになかった。
だから、
「やっぱりあんたは綺麗だよ」
そう言ってやる。
どんなに汚いことをしていたとしても。どんなにその手が血に濡れていたとしても。ライナにとってリーレは綺麗な綺麗な、人形のようなもので。
化け物でしかないライナに同情してくれて。好きだといってくれて。
だから、今度はライナが救う番だ。
「あんたがどんなに人を殺してたって、俺はあんたのことが好きだ」
なにもかも平和な世界で、あなただけが犠牲になる必要なんてないのだから。
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