≫郭嘉のヒモになる


 その日は傘なんて殆ど役に立たないほどの土砂降りの雨の日だった。仕事帰り、駅までの道程を傘を差したり鞄やコートを雨避けに駆け抜ける人々が、飛沫で煙る視界に消えていく中、彼を見付けたのは全くの偶然だ。ふと見た店の軒先、雨宿りに到底なっていないそこに、彼は何故かぼろぼろの段ボールに膝を抱えて入りながら目を閉じて、捨て犬や捨て猫そのままの様相で降り頻る雨に全身をずぶ濡れにしていた。
 雨で面影はないが、乾いていたらさぞ美しく手触りも良いのだろう淡い色の毛を肌に張り付けて、段ボールに比べて明らかに大きな身体を唯一の荷物らしきリュックサックを抱えながら縮こまらせて眠っている、大きな犬。
 ――私がじっと見つめていたことに気付いたのか、不意に、その犬が瞼を持ち上げてこちらを見た。丸い瞳をゆっくりとまばたいて、ぽつりとその犬が言う。

「ねぇ、きれーなかおのおにーさん、」

 おれを、ひろってくれない?


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こんな感じで始まる現代パロディ。
郭嘉は曹魏コーポレーションのエリートサラリーマン。3LDKのマンションに独り暮らし。相変わらず享楽的な生活を送ってる独身貴族。上記の流れから気紛れで夢主を拾う。病気持ちではないけど不摂生と仕事の疲労がたたってかやや体調不良気味。
夢主は住所不明身元不明の青年。一応成人済みらしいが詳しいことはなにも話さない、っていうか郭嘉が聞こうとしないから話さない。辛うじて外見と名前からハーフだかクォーターだかということは分かる。なんかゆるい。家事は一通り出来て、時々ふらっと出掛けてはポケットに無造作に札束突っ込んで帰ってくる。正確に言えばヒモじゃないのかもしれない。なんだろう、住み込みの家政夫みたいな。

こんな二人ののんびり同居生活からじわじわラブが芽生える話が読みたい。
先にネタ出しした三國の郭嘉ネタの夢主は真面目なタイプなのでこちらは割と自由人な夢主で。自由人×遊び人。くっつくのかこれ。いやくっつかなくてもいいんだけども。