小話
どこもかしこも、恭介との思い出が染み付いている。
正直、目のやり場がない。
何をしても思い出すんだ、あいつはこれが好きだったと。
俺は選択を間違えたのか。
俺の幸せはここにあると信じたのに。
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2017/02/27 21:39本から顔を上げた。
なぜ集中力が途切れたのか、真司自身もわからないまま。
水底から息継ぎをしたような目眩と気だるさ、そして背中の重みに気づく。
振り返るといたずらっぽく恭介が笑う。
随分とヤキが回ったものだ。
あの緒方真司がこんなことに安らぐなんて!
「邪魔してごめんなさい」
真司より少し低い声に胃の底が甘く痺れる。
意味もなく恥ずかしくなって、再び視線を本へ落とす。
ここが、俺の居場所と信じて。
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2017/02/25 01:02寛樹は歳を重ねるごとに賢くなって、亮介は誇らしい反面、神様が寛樹に知恵を与えるたびバカになったと思ってる。寛樹と亮介の世界に他の人間はいらないけどたまに息苦しくなった亮介は自分だけ外の空気を吸いに行って、だけど必ず寛樹のところへ帰る。寛樹は別に帰ってこなくても構わないと思ってて、だけど亮介を見たらほっとする自分が醜いと思う、それが唯一の感情らしい感情。寛樹に外の世界を見てほしいし、この関係を断ち切ってほしいし、どこかで寛樹に捨てられる自分に甘い誘惑を感じてる。
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2017/02/24 12:32暁は対人関係なんかどうでもいいけど、同じ価値観の姉が信頼を置く真司のことはそれなりに気に掛けてる。だけどあのいじめはバカバカしく単純で、振り払えるくせに捕らわれる真司に幻滅する。だけどそれすらも真司に対する幻想、彼もまた一人の人間だと真朝に指摘され自己嫌悪に陥る。真司はそもそも暁に期待してないし、暁もそれを自覚しているから余計につらくて、だから真司から歩みよってきたときは冷静を装いつつ恥ずかしい。二度と過ちを繰り返したくないから、真司の補佐でいる間は真司のサポートに徹する。だけど悠太はそんな暁が痛々しくて見てられなくて真司から引き離そうとする。だけどそのとき真司には人並みの執着が芽生えてるから暁は解放されない。
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2017/02/24 12:15秋一の理想の対人関係は利用する側とされる側に二分されることで、だから真司が何に悩むかわからないけど、自分に欠けたものを持った真司を信頼したくなる。一方で、搾取、依存をきれいごとで塗り固めようとする瑞樹たちをバカにしてる。瑞樹は瑞樹で、「きみ、ひとりで生きていけるなんて思ってるの?」とバカにしてる。普段は周りから大人だ、頼りにしていると言われる自分が秋一に対して大人でいられないことに苛立つ。秋一はその苛立ちもまた感じとっていて、素直に認めればいいのにと憐れんでいる。瑞樹が感情を剥き出しにして秋一に向き合ったとき、秋一は初めて深い満足感を得て、捨てられるまで好きでいてやってもいいと思うんだけどそんな自分にぞっとして瑞樹から離れようとするんだけどたまらなく寂しくなって結局瑞樹に溺れる。
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2017/02/24 12:03